第1回 2011年度版 社会人ドラフト特集2011年10月26日
中・下位候補

森内壽春(JR東日本東北)
2年目からドラフト候補として注目を浴びてきた新垣勇人(東芝)。真っ向から振り下す最速149キロのストレートと落差が大きいフォークのコンビネーションで三振の山を築く投手だった。しかし、今年は不調のため、監督の勧めで今までより少し腕の位置を下げたテークバックを小さいフォームに変更。そのことでボールを離すことに成功し、同じ140キロ台でも空振りが奪えるストレートになり、実戦力が向上した。開幕戦で完封し、指名が意識できるものになった。今年で、社会人4年目を迎えるが、本人がプロに行く気があるのならば、会社は送り出すべきだろう。
最近、プロで活躍する社会人出身の投手は26歳~27歳が多い。埼玉西武ライオンズの牧田和久は大卒4年目、福岡ソフトバンクホークスの攝津正は高卒8年目、東京ヤクルトスワローズの七條祐樹は高卒8年目でプロ入りしている。24~25歳の間が、ドラフト適齢期といわれ、その年を過ぎると指名される確率が低くなる。プロ入りする実力があっても、将来的なことを考え、社会人で留まる選手も多く、球団も本人がその気でなければ指名しないことが多い。
ただ、野球選手にとって26歳~29歳は最も脂が乗る時期で、精神的にも、技術的にも成熟し、安定して結果を残せる時期に入っていく。それはプロでも、アマチュアでも関係ない。
一つ言えることは、技術的な意識が低い選手は、その年になっても開花する可能性は限りなく低い。冒頭で紹介した3人と共通することは、技術的な意識が高く、安定して結果を出せる投手であったことだ。そういうことを踏まえ、今年の選手に目を向けると新垣勇人(東芝)、森内壽春(JR東日本東北)、山中浩史(Honda熊本)がいる。
ただ、今年はドラフト解禁年になった候補生の人材が乏しく、年齢の幅を広げていかなければ即戦力に相応しい選手は確保できない年でもある。
54年ぶり2人目の完全試合を達成した森内壽春(JR東日本東北)。その投球内容は見事であった。社会人野球の先輩である攝津正のようなテークバックで出所は見難い。球持ちは良く、140キロ前後のストレートでも空振りを奪うことができる。スライダー、チェンジアップ、ツーシームをテンポ良く投げ分ける投球スタイルで、社会人での4年間という経験が裏打ちされたマウンド捌きは、プロでも活きるはず。中継ぎとして獲得したい投手だ。
右下手投げの山中浩史(Honda熊本)は、130キロ前後ながらストレートには伸びがあり、シンカー、スライダーを淡々と投げ分ける緩急自在の投球で打者を手玉に取る。都市対抗で最高の投球を見せることができれば、牧田和久の活躍により下手投げの需要も考えられることから、指名の可能性も高くなるだろう。
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