第1回 2011年度版 社会人ドラフト特集2011年10月26日

海田智之(日本生命)
ドラフト候補として期待される大城基志(JX―ENEOS)は、4回途中の降板で、球速も130キロ前後にとどまった。キレのあるカーブ、スライダー、スクリューを投げるも肝心のストレートが来ないのでは、その効力を発揮しない。復調すれば140キロ前後を投げる投手ではあるが、ストレートの威力不足をどう解消するかが今後の課題になりそうだ。
海田智之(日本生命)は、駒大時代からドラフト候補として期待されたが、思うような結果を残せず社会人入りした。左腕から135キロ前後のストレートとスライダー、カットボールを武器にして打たせて取る投球スタイル。左腕ということを差し引いても威力不足な面が課題である。
小石博孝(NTT東日本)は、テークバックを完全に隠した出所の見難いフォームを駆使し、打者を幻惑する。140キロ前後の速球にカーブ、スライダー、チェンジアップ、スクリューと投げ分け、ハマった時の投球は太刀打ちできないが、独特の感覚で成り立つフォームであるため、バランスを崩すと不調に陥りやすい。それでも彼の打ち難さと完成度の高さを買って指名する球団があるかが注目したいところだ。同じ2年目の末永彰吾(NTT東日本)は、サイドから150キロのストレートを投じる速球派。スライダー、フォークの切れも良く、ややコントロールは粗いが、短いイニングならば、プロでも通用する投手だろう。
フェリペ・ナテル(ヤマハ)は、2009年の都市対抗で完成度とスケールを兼ね備えた投球を見せるなど、去年も指名の可能性があったが指名されなかった。野球協約82条により日本人扱いで指名される今年に勝負をかけたが、不調だった。しかし、都市対抗では、その意気込みが感じられる投球を示してくれた。常時140キロ前後の速球には威力があり、縦横のスライダー、チェンジアップ、カーブを投げ分ける器用な投球スタイルでパナソニック打線を9回二死まで1失点に抑える好投を見せた。
150キロ右腕の高木 勇人(三菱重工名古屋)は、都市対抗での登板はなしに終わった。最後のアピールである都市対抗で登板できなかったのは惜しかった。しかし、それまでの積み上げがあると思うので、追いかけ続けてきた球団の指名もありえるかもしれない。
守安玲緒(三菱重工神戸・高砂)は不調に終わった。直球も140キロ前後にとどまり、コーナーに投げ分ける投球で組み立てていったが、物足りない投球内容だったので、個人的にはもう1年残留を決めたほうがよいのではないだろうか。彼が所属した2年間で2年連続初戦敗退しているので、やはりチームとして、個人として最高の形を残してからプロ入りするべきであると思う。
佐藤達也(Honda)は、150キロを超えるストレートが売りの投手だが、高めに浮く制球力の粗さがネックであり、それを補うほどの変化球はない。今年の都市対抗で投球の幅を広げることが出来るかに注目される。
さらに最速150キロを超えるストレートを投げ込む沖山勇介(日本製紙石巻)、大学時代時代からドラフト候補として注目を浴びてきた150キロ右腕・祖父江大輔(トヨタ自動車)、都市対抗出場はないが、武藤好貴(JR北海道)はテークバックの大きいフォームから140キロ前後のストレートにキレのあるスライダー、フォークを投げる本格派だ。
内野手では、小島修平(新日鐵住金鹿島)と梅津正隆(NTT西日本)が面白い。小島はバットコントロールの良さ、渋く安定した二塁守備、走塁技術の高さが光る。打者としてはパンチ力が欠けるのが気になるが、守備固め・スペアとして指名したい選手と思わせる選手だろう。
梅津はショート守備の安定感は抜群。一歩目の反応、足の運び、グラブ捌きの柔らかさ、地肩の強さともに一級品。都市対抗で見せた打撃は第1打席で粘った末に四球、第2打席では引っ張り二塁打とアピールした。さらにしっかりと振り切る打撃スタイルなので、本塁打を打つパンチ力もある。守備の安定度は、東芝の安達以上で、嫌らしい打撃スタイルが出来る選手なので、面白みがある。やや打撃フォームに癖があり、一軍で結果を残すには時間がかかるが、プロ仕様の打撃フォームに改良出来れば活躍が期待できる選手だろう。
外野手では、走攻守三拍子揃い、西濃運輸の補強選手として出場している亀谷信吾(トヨタ自動車)、都市対抗では結果を残せなかった攻守にバランスが取れた山田晃典(三菱重工名古屋)にも注目。都市対抗出場はならなかった比屋根渉(日本製紙石巻)だが、スポニチ大会のトヨタ自動車戦では二盗、三盗と俊足を披露し、ホームランを打つパンチ力を披露し、スカウトに猛アピールを見せた。
(文=編集部河嶋 宗一)
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