第1回 山口きららマウントG(山口県防府市)2011年11月24日

"堀田コーチと1年目の新出"
その山本と立場を異にするが、このチームを根底から支え続けているもう一人の関係者がいる。約20年前に地元社会人野球チーム田辺製薬が廃部したことで、それらの選手を引き取り、山口きららマウントGの前身である防府クラブを立ち上げた部長の西山信也である。
「改めて20年って考えたら、長いですね。うちは当初ソフトボールチームとして始めて、それから野球に移行してからも純粋なクラブチームだったのでいろんな面で大変でした。でも、今では山本譲二さんにいろんな面でバックアップしてもらって、以前に比べると負担も少なくなりました」
しかし、あくまでクラブチーム。選手はそれぞれの企業に就職し、生計を立てなければならない。そのため、部長である西山ら首脳陣は、自らも仕事をする傍らでチームを運営し、さらに後援会などを通じて、野球をするという条件を各企業に理解してもらいながら、選手の就職先を斡旋するなど多忙な生活を送っている。
休日の昼下がり。山口県防府市、協和発酵防府工場内にある野球場には、ぽつりぽつりと部員が姿を現し、次第にグラウンドは活気付いてくる。全体練習のために午前中から黙々とトレーニングを積んでいるものもいれば、スーツや作業着を着たまま、部室に駆け込み、慌ててユニフォームに着替えるものもいる。
近年、県内はもとより県外からも入団希望者がいるというチームは、ひと言でクラブチームとは言わせないほどの真剣味がある。普段の練習や大会で、実質の指揮を執っている笠原薫助監督はこう話す。
「クラブチームですが、“楽しい”をはき違えないように、メリハリをつけています。まず、第一条件として勝つことですね。前年までは、目標を全国制覇にしていたのですけど、しばらく予選で負けていたので、まずは(全日本クラブ野球選手権大会)出場を目標に設定しました。そして今年はそれをクリアしたので、来年は当然日本一という目標を掲げます。今のメンバーは、家庭を持っているものもいますし、休日に練習や試合をすることで、それを犠牲にしているところもあります。だからこそ、練習でふざけているところがあれば、怒るときは怒りますし、それぞれの仕事が厳しくても野球の時は、別だと思っています」