都市対抗

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第2回 第83回都市対抗野球大会を振り返る (前編)2012年07月29日

【目次】
[1]白熱した接戦、競り合いが続く
[2]効果的な本塁打
[3]大会個人通算最多本塁打タイ記録が生まれる

効果的な本塁打

池辺(JX-ENEOS)

"池辺選手(JX-ENEOS)"

前大会は東日本大震災の余波を大きく受け、秋(10月22日〜11月1日)に京セラドーム大阪での開催。さらに出場各チーム、それまでの公式戦や対外試合数も大幅に減り、調整や試合勘という部分も大きく影響したに違いない。

その結果、戦後初開催であった第17回大会(1946年)の本塁打数4本(16試合)以来の7本(31試合)という本塁打の少なさであった。ところが、今大会は4倍強の32本塁打。ただ、これは例年に比べて特別に多い訳ではない。しかし、先制、逆転、決勝打と試合を大きく左右する本塁打が多かったのが印象的だった。

優勝を決めたJX-ENEOS(計4本塁打)だけから抽出してみても、池辺啓二の先制・決勝ツーラン(1回戦/ジェイプロジェクト)、井領 雅貴の逆転スリーラン(3回戦/パナソニック・門真市)、泉尚徳の先制・決勝スリーラン(準決勝戦/NTT東日本・東京都)、山岡剛の逆転・決勝スリーラン(決勝戦/JR東日本)といった具合になる。

1979年以降、社会人野球は金属バットを使用していたが、国際大会への対応や試合時間の短縮及び内容充実化で2002年から木製バットの使用が復活。1990年代後半は当たり前に1大会で100本前後(1試合平均3本以上)の本塁打が乱れ飛んでいたが、これに伴って約半分の1大会40〜50本前後に落ち着く。こうして投高打低が完全に定着していたうえに近年は、投手の変化球も多彩化。
特にカットボールやツーシームといった小さな変化球の精度が高くなり、その傾向に拍車が掛かっているので本塁打の減少は否めない。だが、本塁打は野球の大きな醍醐味であることには間違いない。勝負を決する大きな力を持っているだけに「野球の基本は守りだと思うけれども、空中戦(本塁打攻勢)も出来ないと全国大会は制することが出来ない」といった考えを持つ首脳陣、指導者も多い。こういったことからも単純に本数ではなく、効果的な本塁打の重要性は増すように思える。


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