- トップ
- インタビュー
- 2015年インタビュー
- JR東日本 東條 大樹投手 「中継ぎのスペシャリストを目指して」
第28回 JR東日本 東條 大樹投手 「中継ぎのスペシャリストを目指して」2015年10月22日

[1]館山 昌平(東京ヤクルトスワローズ)に憧れ、サイドの実力者に
[2]肘の故障を乗り越え復活した大学ラストイヤー / 強みを活かし、武器を加えた社会人での2年間
[3]さらなる高み追及し真の「中継ぎエース」へ
高校、大学と比べ役割分担がしっかりしている社会人野球。よって先発のみならず、中継ぎ投手がプロ入りし活躍するケースも少なくない。たとえばオリックス・バファローズのセットアッパーへ成長を遂げた佐藤 達也は、Honda時代から中継ぎでの活躍が多かった投手だった。
そして今年のドラフト候補でも中継ぎとして実績を残す社会人投手がいる。それが東條 大樹(JR東日本)だ。桐光学園高(神奈川)~青山学院大を経て2014年にJR東日本に入社。都市対抗2回、日本選手権1回に出場する中で6試合に登板し10回3分の1を投げ自責点0。右サイドから変幻自在の制球力を誇る彼のピッチングにはNPBのスカウト陣も熱視線を送っている。
そこで今回は東條の高校から今までの活躍を振り返りつつ、ドラフト目前の思いにも迫った。
館山 昌平(東京ヤクルトスワローズ)に憧れ、サイドの実力者に

東條 大樹投手(JR東日本)
右サイドから常時140キロ中盤の速球、キレのあるスライダー、チェンジアップでねじ伏せる投球を得意とする東條 大樹。取材日にブルペンで披露してもらったピッチングにも迫力があった。インステップ気味のフォームからぐっとボールが打者の近くに来る。「それが僕の武器なので」と当人は言い切るが、思わず打席に立つのが怖くなるほどだ。
「彼はあのボールの速さで、そしてボールが揺れ動くので、確かに怖さを感じると思います」(清水 大輔コーチ)。それもそのはず、東條のサイドスローは長い時間をかけて作り上げたものなのである。
サイドスローにしたのは高橋 周平(東海大甲府高<山梨>~中日ドラゴンズ・2012年インタビュー)、小笠原 慎之介(東海大相模高<神奈川>3年・関連記事)らも輩出している湘南ボーイズに所属していた藤沢市立高浜中学3年時から。
「館山さんのフォームのバランスなどを参考にしてきました」(東條)。
モデルになったのは140キロ後半のストレートと制球力を併せ持つ館山 昌平(東京ヤクルトスワローズ・関連記事)だった。桐蔭学園高に進むと、130キロ後半の速球をベースにフォームを固めた東條の実力はメキメキと上がっていく。3年時には最速145キロに到達し、夏の2009年神奈川大会はベスト4に進出。
青山学院大進学後も東條の躍進は続く。1年春の開幕2戦目・拓殖大戦で、6回から2イニングを投げ無失点に抑え初登板初勝利を挙げると、4月20日・第3週の駒澤大戦で完封勝利を挙げるなど華々しいデビューを飾り二部優勝に貢献。
一部昇格を果たした2010年秋のリーグ戦でも、9月14日の第2週の國學院大戦で、5回からリリーフ登板を果たし、2回3分の1を投げ自責点1。10月7日の亜細亜大戦では8回から登板し2回を完璧に抑える好投を見せ、見事に初勝利を手にするなど、4試合に登板し、1勝0敗、防御率4.33と2年以降へ期待を持たせる活躍。東條も「打たれながらも成長を実感はしていました」と語るように目標としたプロへ向けて順調にスタートを切っていたかと思えた。しかし・・・・・・。
【次のページ】 肘の故障を乗り越え復活した大学ラストイヤー / 強みを活かし、武器を加えた社会人での2年間