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第6回 Honda 西郷泰之選手 (後編)2012年03月30日

 後編は、この22年間で多くの記録を残してきた西郷泰之選手に「数字」をテーマに、印象的だったホームランや、オリンピックで銀メダルを獲得した記憶。また、優勝に拘り続ける理由や、今後の思いも熱く語っていただきました。

数字で振り返る22年間

"インタビュー時の西郷選手 (撮影=島尻譲)"

――今年で40歳になられる西郷選手ですが、率直にここまで長く現役で続けて活躍できる理由を教えてください。

西郷泰之選手(以下「西郷」)  何年も社会人野球を経験していると、野球が出来ない時期というのがあったんですよね。チームの休部、自分自身のケガ。20代半ばは、野球をもう辞めたいと思うこともあったんですけど、いざ野球が出来なくなると、やっぱり野球なしの生活は出来なかったんです。野球がやりたくなるんです。僕は野球が好きなんだなって感じられて。
それに、みんなで目標に向かっていって達成した時の喜びを味わうと、またあの喜びを感じたいなとか。またみんなに、この思いをさせたいなとか、そういう気持ちが生まれてくる。だから、もっと長く続けたいんですよね。もちろん、結果が伴わないとクビになってしまうので、そのためにも、まだまだ頑張りますよ。

――そういった思いがモチベーションにつながっているのですね。それでは、西郷選手は、これまで都市対抗で6度優勝を経験されましたが、最も印象に残っている大会とは?

「西郷」 どれも印象に残っていて思い出深いですが、初めての優勝(2000年)の瞬間はやっぱり今でも思い浮かびますね。最終回、ファーストで守って構えている場面なんですけど、本当に優勝するんだなって。
次に印象的だった都市対抗は、Hondaが優勝した時(2009年)ですね。それも思い出の一つですね。(前所属チームが休部になって)Hondaにとっていただいた年に優勝できたので、少しは貢献できたかなってホッとしたというのもありますね。

――では、その都市対抗で今まで13本のホームランを打っていますが、その中での特に快心だった一本というのは?

「西郷」 初めて打った1本目は印象に残ってますけど、他のホームランもすべて印象に残っています。1本1本、ハッキリ覚えていますよ。東芝の補強選手として出場した大会での(3本の)ホームランもあったし、満塁ホームランも打ちました。

――都市対抗の舞台でホームランを打つ醍醐味とは何ですか?

「西郷」 やっぱり、みんながその大会を目指してやってきている中で、社会人の一番いい舞台で打てるっていうのは嬉しいです。歓声とか、すごいですよ。打席に入る時に聞こえてくる歓声も、すごいなーって感じますね。ホームランにしても、自分が打ったものに応援席がワーって盛り上がってくれるのが、本当に嬉しいです。

――西郷選手は、これまで日本代表のキャリアが18回あるんですけど、これは今の現役選手でトップの数ですよね。最も印象に残っている国際大会はどの大会でしょうか?

「西郷」 一番最初に出場したキューバ選手権(1995年)ですね。キューバのピッチャーがものすごかったんですよ。球の速さもそうですし、キューバと試合する経験があんまり無くて。
初めて試合をやったときに「彼らのこの高い能力は一体なんだろう?」って不思議に思いましたね。スタメンで出してもらったんですけど、ピッチャーの球が速くて見えないんですよね。国際大会を経験することで、世界には、いろんな野球があるんだなって感じました。

――では、22年間で一番嬉しかったことは?

「西郷」 やっぱりオリンピックに出場できたことですね。そして銀メダルを取れたことですね。銀でも、嬉しかったですね。オリンピックでは、色々な競技の選手と出会えたり、日本の選手村では、「○○選手が金メダル獲得!」とか「○○選手が銀メダル獲得!」とか、貼り出されるんですよ。
洗濯場がみんな一緒なので、その競技の選手がいたら「おめでとうございます!」と声を掛け合っていました。当時は、柔道のヤワラちゃんとか、テニスの松岡修造選手もいましたね。


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プロフィール

山縣有輔
西郷 泰之(さいごう やすゆき)
  • 1972年8月30日、東京都生まれ。日本学園高校卒業後、三菱自動車川崎(三菱ふそう川崎)に入社。08年にチームは休部するが、翌年からHondaに移籍し、同年夏の都市対抗で自身6度目の都市対抗優勝を果たすなど、「優勝請負人」と呼ばれてきた。また現在、日本代表キャリアも現役選手の中では最多の18度と、多くの実績を残している。
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