
岩佐 海斗(東京ガス)

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- 寸評
- 成立学園時代から注目されてきた長身右腕。187センチの長身を最大限活かしたフォームから角度ある直球で勝負する投手だ。既に高卒4年目で、3年連続で都市対抗登板を経験しており、経験は十分。素材の良さを買って手を上げる球団はあるか。
(投球スタイル)
ストレート 142キロ
常時135キロ~140キロ
フォーク 130キロ前後
縦のスライダー 120キロ前後
カーブ 105キロ前後
ストレートは140キロ前後とそれほど変わりないのだが、前よりも角度・重量感が出てきたようで、押し込んで詰まらせることが多くなった。彼はフォーク、スライダー、カーブと縦の変化で勝負していく投手。およそ30キロ差をつけたカーブで緩急をつけ、外角ギリギリにコントロールし、勝負する。追い込んでから縦の変化球で空振りを狙う。以前から縦の変化で勝負する投手であったが、今年はよりフォークに決め手が出てきたようで、投球の幅が広がった。
長身で、角度ある直球を投げ、カーブ、フォークも使い分けることができていて、22歳の投手としては投球がしっかりしている。ただ突出したストレートがあるというわけではなく、何か押しが弱いのが気になった。
(クイックタイム)
クイックタイムは1.1秒~1.2秒台とまずまずのタイム。クイックが素早いだけではなく、コントロールが乱れないと言うのが素晴らしい。牽制も巧みで長身ながら野球センスの高さを感じる投手だ。
(投球フォーム)
投球フォームのイメージとして球速が速くない武田 翔太(現ソフトバンク)とイメージしていただければ分かりやすい。ステップ幅が狭く、上体を鋭く絡めせるオーバーハンドだ。
セットポジションから始動する。左足を高く上げていき、右ひざを折り曲げて立つ。左足をショート方向へ伸ばしていきながら、重心を少しずつ下げていく。以前よりも左足を送り込むようになった。着地はつま先から着地と独特の着地である。ただステップ幅が狭く、ヒップファーストの重心移動ではない。長身を活かし、角度を意識した身体の使い方になる。
気になるのは左ひざの開きが早く、それによって前肩の開きが早くなっていること。
左腕のグラブを真っ直ぐ伸ばして引き込む。一塁側へ身体が流れる傾向からか。グラブが遊びがちになりやすい。
コンパクトにテークバックを取り、しっかりと肘を上げていく。右腕を体の近くで、鋭く腕を振り抜いていく。長身で、ステップ幅が狭い投手は外回りの腕の振りの軌道になる傾向があるが、彼は身体の近くで肘を使い打者寄りでリリースすることができているため制球が安定しやすい。ただ身体が突っ込んで、球離れが早い状態になっているときがある。その状態が続くと故障につながりやすいので、気を付けていきたい。 - 将来の可能性
- 高卒4年間で、既に3年連続で都市対抗の登板を経験しているからか、冷静なマウンド捌きで、自分のペースで安定した投球を見せてくれた。一昨年、昨年と変化球の使い分けが上手い投手に成長しつつある。長身で爆発的なストレートを投げるわけではないが、すべてにおいて率なくこなす野球センスの高さがこの投手の魅力だ。
素材の高さを買って先物買いする球団があるか、それとも東京ガスのエースとして確かな活躍を見せてからプロ入りを狙うか。個人的にはもっと圧倒的な実力を身に付けて高い評価を受けてからも遅くはない。良い投手だが、ドラフトを意識する上で、さらに素質を伸ばすことができるか。注目していきたい。 - 情報提供・文:2012.09.20 河嶋 宗一
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