海田 智行(日本生命)
海田 智行
- 所属チーム:
- 日本生命
- 所属都市:
- 大阪市
- 球歴:
- 賀茂 – 駒沢大学
- ポジション:
- 投手
- 投打:
- 左/左
- 身長:
- 179cm
- 体重:
- 80kg
- 寸評
- オリックスから指名を受けた海田 智之。彼の体型を見るならば、本格派左腕と期待を抱きたくなるものがある。179センチ80キロと均整が取れていて、鍛えられた下半身。なぜか投球スタイルは横の変化で勝負する投球内容で、悪く言えば特徴がない左腕と呼べる。ただ箸にも棒にもかからない投手でもなく、オリックスの投手事情を考えると一年目から登板機会が見込める投手であると評価する。
(投球スタイル)
ストレート マックス
常時135キロ~140キロ
カットボール 130キロ前後
スライダー 120キロ前後
カーブ 105キロ前後
左腕投手の基準は130キロ後半~140キロ中盤。海田は135キロ~140キロで、そのストレートはバックスピンが多く掛っているわけではなく、平均的なストレート。ドラフト候補と思わせるようなストレートではないのだ。
変化球はカットボール・スライダーと横系統で勝負していく投手だ。打者からすれば横の変化のみなので、狙い球は絞りやすい。横浜の二軍と対戦する試合の模様を見たことがあるが、速球には球威があったものの、横浜の打者は戸惑いなく打ちこんでいる様子が見られた。このまま横の変化だけでは難しいと思ったら、NTT東日本戦ではカーブの割合を増やして、緩急を付けた投球を見せてくれた。
(配球)
・右打者
外角中心にストレート、スライダー。または内角にストレート、スライダー。オーソドックスな配球。ただ打者の狙いをしっかりとつかんで、配球を組み立てているように見える。
・左打者
こちらも外角中心の配球。厳しくつくわけではないが、低めに淡々とついていく投球スタイルになっているだろう。NTT東日本戦ではスライダー、カーブを効果的に使い分けて抑えていく配球をしていた。
以前はただ外角に集めるだけで、淡泊に見えた投球スタイルであったが、少しずつ自分で考えながら投球ができるようになり、追い込んだ時に甘いコースは少なくなってきたことは確か。三振を取った球はすっぽ抜けではなく、しっかりとアウトロー、低めに投げての三振も増えてきて、どの球で打ち取っているのかは分かった。
(投球フォーム)
セットポジションから入る。右足を高く上げていき、左足はしっかりと立つ。足上げの形は良い。右足をセカンド方向に送り込み、重心を下げて、お尻を落として、前膝をホーム方向へ送り込んでいき、ステップ幅を広く取って着地する。右腕のグラブを斜めに伸ばして開きを抑えて右胸に引き込んでいく。
テークバックはコンパクトに取り、しっかりと肘を上げていき、リリース。打者寄りで離すことが出来ており、以前よりもリリースに粘りが出てきたと思う。最後のフィニッシュでは膝が割れてしまいぐっと体重が乗っていかない。ただ前よりも頭の突っ込みが少なくなり、バランスの取れたフォームになってきた。
全体的に大きな癖がないフォーム。踏み出しから着地するまでに粘りがあり、体重移動もロスがなくなり、前で粘れるようになってきた。 - 将来の可能性
- 昨年に比べると球速表示は変わりないものの、ストレートのコントロールは良くなり、カーブを使い始め、投球の幅を広がったといえるが、常時140キロを投げるわけではなく、ウイニングショットと呼ぶべき変化球もない。フォームにも嫌らしさがない。個人的には面白みをかけるが、かといって箸にも棒にもかからない投手ではないと思う。
オリックスには海田と同じくスケールはないけど、技術的に優れた左腕は揃っているが、彼らは武器になる変化球を持ち合わせている。海田は長いイニングを投げ抜くタフネスさはあるが、プロに進んでからウイングショットを身につけなければプロでは通用しない。
社会人からプロに入った選手を信頼出来るのは自分から引き出しの幅を広げ、打者を見て、どんな球種を投げることが出来るかを把握し、そのコースに寸分狂いなくストライクに入れる抜群の制球力があるからだ。今の海田にはそれがない。海田の投球を見ているとまだ自分の可能性を知らない。引き出していないのではと思っている。まだこんなものではないと思ったのは彼を預かった指導者の多くが思ったのではないだろうか。
貴重な左腕であり、オープン戦のアピール次第では開幕一軍入りも考えられる。ただ一軍定着するにはまだ武器が足らない。ストレートの球速・球威を高め、常に新しい武器を身につけていく姿勢を貫き、しぶとく生き残り続ける投手になってくれることを期待したい。
- 情報提供・文:2011.12.06 河嶋 宗一
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