選手名鑑

森内 壽春(JR東日本東北)

森内 壽春

森内 壽春

所属チーム:
JR東日本東北
所属都市:
仙台市
球歴:
八戸工大一高 – 青森大
ポジション:
投手
投打:
右/右
身長:
178cm
体重:
80kg
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  • 寸評
     まさに完全試合が彼の人生を変えた。54年ぶり2人目の完全試合を成し遂げた森内壽春。この試合後、各球団から調査書が届き、日本ハムから指名を受けた。昨年からドラフト候補として注目されてきたが、指名漏れを味わった。昨年から何か大きく変わったのか検証していきたい。

    (投球スタイル)
    ストレート マックス142キロ
    常時135キロ~140キロ
    スライダー 125キロ前後
    チェンジアップ 120キロ前後
    ツーシーム   120キロ前後

    完全試合をあげた背景には何か代わり映えしたのか。今年の投球と昨年の投球を比較するとそんなに大きな変化はないと思う。攝津のようなテークバックから投げ込む直球は常時130キロ後半だが、球速表示以上の切れを感じさせてくれる。昨年の都市対抗では2回3分の1を投げて5奪三振を奪ったように、今年も狙って空振りを奪うことが出来るキレ味は健在であった。

    変化球はスライダー、チェンジアップ、ツーシーム。特にツーシームは有効的な球種で、切れのあるストレートを生かすために大きなアクセントとなっている。特に左打者には効力を発揮しており、ストレートとツーシームのコンビネーションは見事であった。プロではストレートで空振りを奪うことは難しそうだが、変化球の切れ、コントロールは安定しているのでプロの打者相手にもしっかりと投球を組み立てていけそうだ。

    (打者への攻め)
    ・ 右打者
    右打者には外角中心にストレート、スライダーを投げ分けていく配球。リリーフということもあって、ストレートでどんどん押す投球を見せる。変化球も混ぜていくが、右打者には力で押す投球。スライダーでいつでもストライクが取れる。テンポ良く追い込んでいくことが出来る投手であり、キレのあるストレートを両サイドに制球できる制球力は素晴らしい。力を入れると力んでストレートが高めに抜けたりする投手は多いが、ここぞという時に力のあるストレートを安定して放ることが出来る技術には光るものがある。

    ・左打者
    左打者には外角中心にストレート、シュートを投げ分ける配球。シュートで交わし、チェンジアップでタイミングを崩す。左打者はどちらかというと技の投球だが、直球で押す。左打者にも制球力は抜群で、アウトロー、インローにピンポイントに突く制球力はまさにプロレベル。完全試合の投球はまさに付け入る隙を感じさせない投球であった。

    完全試合の投球は終始彼のリズムで付け入る隙がなかった。ストレート、変化球のコントロールともに抜群で、出し入れは可能であり、バリエーションの広い投球が期待できる。完全試合のような投球がいつでも出来るわけではないので、好不調にとらわれず試合を作ることが出来る投球術が必要だが、森内の場合は心配する必要はないだろう。プロの打者を対戦を重ねるごとに手応えを掴み、抑えていく術を見つけていける投手であろう。

    (投球フォーム)
    ノーワインドアップから入る。左足を真っ直ぐ上げていき、軸足はしっかりと立つ。体を沈みこませていき、ややインステップしていく。腰を深く落とすわけではなく、捻りを入れないので、縦系のカーブを投げるフォームではないだろう。

    テークバックはまるで攝津正のように小さくテークバックを取っていく。普通の投手ではできないテークバックだ。

    この投手、左肩の開きが早く、出所は見やすくなると思うのだが、攝津式のテークバックから腕を小さく振っていく。普通の投手に比べてタイミングの取り方が難しく、そして手元でびしっと来る球筋なので、空振りをしてしまう。どこの動作で打ちにくさを生み出しているかを説明するのは難しいが、とにかく不思議なフォームである。

     球持ちは良く、打者よりで離すことが出来ている。顔は一塁に向いているが、リリースの方向はしっかりと前で離すことが出来ており、球持ちは良く、細かな制球力を支えているといっていいだろう。最後のフィニッシュではしっかりと接地し、体がぶれることが少ない安定したフォームである。

     お世辞ながらあまり綺麗なフォームとはいえないが、制球力と打ち難さを求めて打者を抑えることが出来れば、フォームが綺麗、汚いは関係ない。今の段階では実践的な投球が出来ているので、プロでも自分の持ち味を活かす投球が出来るようにしていければいいあろう。
    将来の可能性
     今年で5年目を迎え、まさにぎりぎりのプロ入り。新垣、山中、安部といった実力派投手が指名を受けず、彼が指名されたのは素人受けしやすい「完全試合」が大きかったと思う。「素人受け」という語弊になってしまうが、彼のような突出した球速がなく、速球の切れとコンビネーションで抑えていく投手はよほど推す材料がなければ指名の可能性は少ないと考える。ましてやドラフト直前。ほぼ指名する選手が固まっている時期に社会人4、5年目の投手を推すには何か強い材料が必要だ。森内には完全試合を成し遂げた強運が大きかったと考えられる。個人的には昨年から指名を受けてよかった投手であったと思うが、東北地区プラス高齢がチェックされにくい要因だったと考えられる。

     投球術は完成されており、来年で27歳を迎えることを考えると若い選手と比べると波が小さく力を発揮しやすい森内ならば、1年目から中継ぎとしての活躍が期待できるであろう。いや1年目から活躍しなければ彼の年齢ではほぼチャンスはないに等しい。完全試合で人生を変えた男。彼のサクセスストーリーはこの完全試合がターニングポイントとなった思わせるような活躍を見せてほしい。
    情報提供・文:2011.11.05 河嶋 宗一

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