2015年10月31日 京セラドーム大阪(大阪ドーム)

永和商事ウイングvsTDK

第41回社会人野球日本選手権 1回戦
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8回まで3塁が踏めなかった永和商事ウイングが一挙3得点で逆転勝利

高橋 康平(永和商事ウイング)

 8回までに許した安打は1本だけ、犯した失策は1個だけ。しかし、そのどちらもが永和商事ウイングにとって致命傷になりかけていた。

 初回、先発・高橋 康平がTDKの1番・前田 憲麻に左中間を破られいきなりランナーを三塁に背負う。内野陣は定位置を守り、1点覚悟の守備隊系の中、2番・中大谷 精昭から三振を奪い一死とするが3番・佐藤 弘典のファーストゴロの間に先制点を献上。

 序盤、高橋の投球は「基本、まっすぐが走らないと変化球はただ緩いボールになってしまうので最初にしっかり腕振らせてから」というキャッチャー・村田 裕介の思惑もあってほとんどがストレート。2回までに投じた28球の内、変化球は5球足らず。140km/h前後の威力ある球で押しまくりほぼストレートのみで3者連続三振を奪うなどTDK打線を牛耳っていた。

 しかし、打線もTDKの先発左腕・秋山 翔夢に苦戦。
TDKとの対戦が決まった時から左投手を想定し対策してきたがうまく打たされ、5回までわずか1安打。初回にTDKが先制して以降は互いに0行進が続いていた。立ち上がりの先頭打者以外はパーフェクトに抑え込んでいた高橋だが7回、先頭の代打・佐々木 陽祐にフォアボールを与えてしまう。盗塁で二塁に進まれると一死二塁から4番・近藤 恭平の一塁ゴロで二死三塁。5番・上野 司のショートゴロは送球が高く浮き、ジャンプして捕球したファースト・甲川稔がタッチを試みるがわずかに届かず。ノーヒットで重くのしかかる2点目を奪われた。

 永和商事ウイングは8回まで得点はおろか二塁を踏んだことさえわずかに2度。9回の攻撃前に初めて円陣を組んだ髙橋 博昭監督は、「これだけたくさんの人が応援に来てくれてこのまま終われない」とナインを鼓舞。

 すると一死から代打・松岡 優斗、7番・松本 敏和の連打で一死一、二塁。苦しみ続けてきた秋山を降板に追いやった。尚も代打攻勢を続ける永和商事ウイングは代打・會田 浩樹がライト前にタイムリーを放ち1点を返す。さらに一死一、三塁から「先発の高橋さんが粘って耐えてくれてたんで、何とかしたいと思って打席に立ちました」という代打・渡辺耀介の合わせたが打球がショートの頭上を越え、レフト方向に飛ぶ。

「とにかく落ちてくれ」渡辺 耀がそう願った打球は前進してきたレフト・佐々木の前に落ちる。しかも、人工芝で高く弾んだ打球を後逸してしまうと三走・松本に続いて會田の代走・新垣拓馬も生還し一気に逆転。最後は8回からマウンドに上がっていた渡辺 康介が得点圏にランナーを背負ったもののTDKの主軸を連続三振に打ち取り試合終了。土壇場で逆転に成功した永和商事ウイングが初出場初勝利を挙げた。

(文=小中 翔太)

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