2016年07月18日 東京ドーム

JR西日本vs新日鐵住金かずさマジック

第87回都市対抗野球大会 1回戦
印刷する このエントリーをはてなブックマークに追加   

かずさマジック受難の日 JR西日本投手陣の魔術にハマる

 両チームの先発の出来が大きく試合に影響した。新日鐵住金かずさマジックの玉井 大翔(東農大北海道オホーツク卒24歳)はプロのスカウトも注目するドラフト候補だが、出足からコントロールを乱し、自滅した格好だ。

 ピッチングフォームの大きな特徴は左肩上りで、リリースのときボールを押さえ込めれば低めに糸を引いたようなストレートが飛び込むが、投げ方の基本は上に放り投げるような形なので、押さえ込みに神経が行かないとストレートはどうしても抜ける。

 立ち上がりの1回表、1番春原 直登(関東学院大卒25歳、左翼手)を四球で歩かせ、2番田中 友博(三菱重工広島からの補強、愛知学院大卒26歳・二塁手)にライト前ヒット、3番藤澤 拓斗(中日出身、柳ヶ浦高卒26歳・三塁手)の2球目が高めに抜ける暴投で早々と先制点を献上する。

 3回のJR西日本は先頭の春原がセカンドエラーで出塁し、1死後藤澤のセンター前ヒットで一、三塁とし、4番田村 強(大阪体育大卒23歳・遊撃手)のとき再び玉井の初球が暴投になり2点目をゲット。JR西日本はこの3回までストライクの見逃しが多く、都市対抗未勝利の緊張感に縛られているように見えたが、暴投による2点で楽になった。4回以降、ストライクの見逃しが目に見えて減ったのだ。

 この傾向が顕著だったのが元中日の藤澤だ。3回表はボールカウント1-1からセンター前ヒット、6回は先頭打者で初球を捉えてライト前ヒット、7回は1ボールからの内角低めをライト前ヒット、9回は1死一塁から初球をライト前ヒットといずれも早いカウントで攻略し、得点に4回絡んでいる。5打席10球中、ストライクを見逃したのはたった1球だけ。見逃し率はたった10%である。

 プロとアマチュアの大きな違いは、打者なら好球必打にある。プロはアマチュアにくらべると甘い球を積極的に打っていく。アマチュアは高校大学社会人と舞台が上がるにつれてチームバッティングを要求されることが多くなるので、早いカウントで撃つことに遠慮が生まれやすい。藤澤の打席を見て、そういうプロとアマの違いを痛感した。

 JR西日本湧川 雄貴(愛知産業大卒26歳)から鮫島 優樹(三菱重工広島からの補強、MSH医療専出身28歳)への継投が絶妙だった。湧川はスライダーを低めストライクゾーンに出し入れするコントロールが絶妙で、6回を1失点に抑えた。

 そのあとを受けた鮫島はフォークボールの一芸名人で、代わりっ端の7回裏は14球中9球がフォークボール。ただの技巧派なら攻略もしやすいと思うが、左肩の早い開きがない一級のピッチングフォームからこの日最速の144キロのストレートを制球よく四隅に投げ分け、打者の打ち気が見ればキレのいいフォークボールでボール球を振らせるという魔術師のようなピッチングで3イニングを無安打、3三振でシャットアウトしてしまった。関東の強豪、新日鐵住金かずさマジックにとっては災難としか言いようのない1日だった。

(文=小関 順二

応援メッセージを投稿する