2016年07月19日 東京ドーム

JR九州vs東芝

第87回都市対抗野球大会 1回戦
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JR九州・原口大陸の値千金の犠牲フライで1点をもぎとり勝利!

 JR九州・井上翔夢(西日本工業大卒26歳)と東芝谷岡 竜平成立学園高卒20歳)の息詰まるような投手戦になった。谷岡は最速146キロのストレートを主体にしながら縦・横2種類のスライダーとフォークボールを織り交ぜた安定感のあるピッチングで6回3分の1を5安打、7三振、1失点に抑え、上々の出来。

  力投型の本格派にしてはコントロールがよく、ストレートが高めに抜けているのかと思うと、その次に外角低めにピタリと決まっているように、意図的な高低の投げ分けだとわかる。

  井上は「スライダー名人」の称号を与えたいくらいの技巧派。もう少し本格派かと思ったがスライダーの占める割合が高いのに気づき、7~9イニングの3回を調べてみた。すると32球中変化球が24球あり(75%)、そのほとんどがスライダーで、打者を追い込んでフォークボールがくるという内容。

  身長は180センチと紹介されているが、185センチくらいに見える。高角度から斜めに大きくキレ込んでくる独特の軌道で、低めとコーナーに構えたキャッチャーミットにピタリと収まる。

  75%の変化球が打たれないのは、たまにくるストレートがいいからだ。やはり高角度から低めに飛び込んでくる軌道で、球速は138、9キロがほとんど。それでも2割弱の割合なので、どのボールカウントでくるか予測がつかない。スライダーに絞りながらストレートとフォークボールに対応するという普段と異なった待ち方は打者にストレスを与える。

  JR九州に決勝の1点が入ったのは7回表だ。先頭の中野滋樹(東洋大卒36歳・一塁手)の高い打球が長打となり、この処理を焦ったセンターのもたつきを見て中野は三塁を陥れる(二塁打とセンターのエラー)。谷岡が6番打者を三振に切って取って1死三塁となったところで東芝はリリーフに柏原 史陽(JX-ENEOSからの補強、同志社大卒23歳)を送る。対する打者は7番原口 大陸佐賀学園高卒21歳・遊撃手)。

  試合前に行われたシートノックを見て、私は原口の動きに目が釘付けになった。フィールディングが速く、打球を捕ってから送球(トス)に移るまでの動きが非常に速いのだ。バッティングも1、2打席を凡退しているが構えに力感があり、第1打席のライトフライはフェンス際まで運んでいる。そしてこの打席である。どんな内容だったのか1球ずつ紹介しよう。

  初球はストレートが外角に外れ→2球目は146キロのストレートが真ん中に決まり1-1→3球目は外角に変化球がワンバウンドになり2ボール1ストライク→4球目は甘いコースに入ってくるスライダーを空振りして2-2→5球目は外角147キロのストレートをファール→6球目は150キロのストレートが外角に外れ3ボール2ストライク→7球目は内角141キロのストレートをファール→8球目は斜め変化のスライダーをファール→そして9球目の143キロストレートをセンター方向に打ち上げて、これが犠牲フライとなって待望の1点がJR九州に入った。

  力の柏原と原口の対決はこの試合の白眉と言っていい。この1点を手に入れた井上は前で紹介した7~9回の3イニング、スライダーを中心とした75%の変化球で東芝打線を翻弄し、JR九州に4年ぶりの勝利をもたらすのである。

(文=小関 順二

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