2016年07月20日 東京ドーム

日本通運vs西部ガス

第87回都市対抗野球大会 1回戦
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「裏の裏は表」素直に好球必打を貫いた日本通運が勝利

 スターティングメンバーに左打者を8人並べた西部ガスが機動力野球を展開した。私が俊足の基準にする「打者走者の一塁到達4.3秒未満、二塁到達8.3秒未満、三塁到達12秒未満」をクリアしたのは5人9回で、日本通運の4人4回を凌ぐ。

 この脚は確かに脅威になった。12安打のうち内野安打は4本。1対1で迎えた6回裏には2番手でマウンドに上がった阿部 良亮(東洋大卒24歳)に対して5番永利 拓也(西日本短大附高卒22歳・左翼手)が四球で出塁後、6番がバントで送って1死二塁とし、7番川越 大介(同志社大卒26歳・三塁手)が内野安打で一、三塁の局面を作る。

 そしてこの場面で阿部が8番打者に暴投を献上し、西部ガスは労せずして同点の走者を迎え入れる。ちなみに、このあと9番打者もショートへの内野安打で続き、得点にこそならなかったが2死一、三塁のチャンスを作っている。西部ガスの機動力が阿部の手元を狂わせと言ってもいいだろう。

 しかし、左打者をずらりと並べた打線は左腕の変則を苦手にするという弱みもある。日本通運は3対2とリードした7回からその変則左腕の渡辺 圭(東海大卒25歳)をマウンドに送り、逃げ切りを図る。

 西部ガスはこの回、2番原田 拓也(亜細亜大卒25歳・遊撃手)がセンター前にヒットを放ち、2死後に5番永利がスライダーをセンター前に運んで同点とし、左対左の不利など存在しないように思わせたが、8回以降渡辺は左打者の外角に逃げるスライダーを多投し、西部ガス打線はヒット0、三振3個と沈黙した。

 3対3で迎えた8回表、西部ガスは社会人屈指の本格派・奥村 政稔(三菱重工長崎からの補強、九州国際大卒24歳)をマウンドに送る。昨年もこの大会のマウンドに上がり、ストレートの速さが話題になった選手だが、奥村はそのイメージを逆手に取るように130キロ台中盤のカットボールを多投する。

 152キロのストレートを代わりっ端、多幡 雄一(Hondaからの補強、立教大卒34歳・指名代打)にレフト前ヒットを打たれたせいもあるが、いくらキレがよくても同じ球を何球も続ければ慣れられる。1死一塁から代打藤嶋 宏俊(関西大卒23歳)に137キロのカットボールをライトに二塁打され、6番大槻 悦史(東洋大卒33歳・一塁手)の2球目が暴投になって1点、さらに大槻が2球続けたフォークボールをライト線に2点二塁打して勝負は決まった。

 西武の現役時代、伊東 勤氏(ロッテ監督)を取材したとき、「同じボールを続けて意表をついたつもりでもバッターはそれほど考えていない」と言われたことがある。そして続けて「裏の裏は表なんですよ」。この言葉を西部ガスのバッテリーに贈りたい。

(文=小関 順二

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