2016年07月21日 東京ドーム

西濃運輸vsきらやか銀行

第87回都市対抗野球大会 2回戦
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ずらりとならぶゼロ!延長12回、白熱の投手戦を制したのは西濃運輸!

 ものすごい投手戦になった。きらやか銀行・西村 祐太(JR東日本東北からの補強、桐蔭横浜大卒27歳)、西濃運輸六信 慎吾(法政大卒25歳)が互いに譲らず、延長11回まで延々と0が並ぶスコアになったのだ。

 2人の持ち味は真逆。六信は変則的なフォームからストレートを前面に押し立てるピッチングスタイル。何が変則かというと、テークバックに入ってすぐヒジを固めるフォームが、あまりなじみがない。西武の変則左腕・小石 博孝を右にして、腕の振りを上にしたら近くなるだろうか。昔なら水野 雄仁(元巨人)が似ているかもしれない。

 変則だがストレートは速い。今日の最速は148キロで、延長戦に入ってもスピードは落ちなかった。変化球はスライダー、フォークボールがあり、ともに打者近くでの落ち方が強烈。8回表、1死二塁の場面で対した3番藤本 剛大(函館大卒23歳・右翼手)に2-2からこのスライダーを投げて見逃しの三振に取るのだが、記者席に設置されているTVのモニターで確認するまでこれがスライダーだとは思わず、フォークボールだと思った。それほどキレがいい。

 対するきらやか銀行の左腕・西村はコントロールで勝負する技巧派、と書くと凄さが伝わらない。ストレートは130キロ台中盤が最速だから速くはない。しかし、高角度から低めに決まったときの迫力は六信にヒケを取らない。たとえて言えば、バレーボールのエースアタッカーのスパイクの角度と言えばいいだろうか。このストレートがカーブ、スライダー、シンカーの間隙を縫って飛び込んでくる。

 さらに球持ちが長いので、腕の振りとボールの出てくる時間にわずかのタイムラグがあり、打者はタイミングを合わせ切れない。西濃運輸が延長11回まで2安打、無失点に抑えられたのは当然と言えば当然なのである。

 野手陣で目についたのはタイブレークの12回裏、勝負を決するサヨナラ2点二塁打を放った井貝 星良(東海理化からの補強、県岐阜商高卒24歳・一塁手)である。7回にもチーム2本目のヒットをライト前に放っていて、西村に封じ込められた中でただ1人タイミングが合っていた。

 さらにもう1人、紹介したいのが捕手の松本 直樹(立教大卒23歳)。何が凄いといって、この選手、イニング間の二塁送球で私が初めて経験する1.66秒を計測したのだ。2日前の大阪ガス戦でも最速1.75秒をはじめ1.7秒台が3本あり、今日は1.7秒台が4本、そして1.66秒があった。

 実戦ではどうおだろう。きらやか銀行の5番小野寺 貴哉(石巻専修大卒29歳・三塁手)が9回に二盗を企図し、このときに要したタイムが3.47秒。特別速くないが、まあまあのタイムだ。松本はこれを楽に殺しているのである。ちなみに、小野寺は4回にセーフティバントを試みファールになっているが、このときの一塁到達が3.80秒。この俊足の二盗を阻止しているのだからイニング間の1.66秒は評価していい。

(文=小関 順二

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