欧州野球紀行

印刷する このエントリーをはてなブックマークに追加   

第5回 フランス野球[前編] フランス野球と日本のつながり2013年11月15日

【目次】
[1]フランス代表監督を務めた吉田義男さんの存在
[2]フランスでプレーして感じたこと
[3]エリック・ガニエがフランス代表の投手コーチに!

フランス代表監督を務めた吉田義男さんの存在

 楽天の優勝で華々しく終わった今年の日本のプロ野球。そして春先に行われたWBCの日本の激闘が遠く昔のような気もする今日この頃ですが、2013年の大会からWBC参加国が28カ国に拡大され、実はその予選にフランス代表も初めて参加しました。
 WBC予選に参加すること自体がフランス野球にとっては快挙とも言えるでしょう。なぜなら、1990年から1995年まで元阪神タイガースの吉田 義男さんがフランス代表の監督を務められていたときには、サッカー場やラグビー場にラインを引いて野球をやっていた時代ですからね。

2012年のヨーロッパ選手権

 それを考えると、今こうしてWBCという舞台で世界を相手に戦えることができるのは、この約20年でのフランス野球の急成長を見て取ることができます。私自身、2011年からフランスでプレーさせてもらっていますが、リーグ戦の運営は非常にしっかりしているし、驚くほど綺麗な球場もいくつかあり、さらに選手個々のレベルの高さにいつも驚かされてきました。

 フランス代表クラスの選手になると、なぜフランスにいるのだろう?アメリカや諸外国に挑戦すれば良いのにと思わせる高い能力の選手がたくさんいます。今こうして世界の舞台に出てくることができたフランス野球ですが、フランス野球の現状や今後の展望について、フランス代表コーチとして国際大会に参加したこともある私の視点から、今回のコラムを通じて皆様に少しでもフランス野球に関して見識を広げて頂ければと思っています。

 吉田 義男さんがフランス代表の監督をされていた際、フランスでの野球はほぼゼロに近い状態でした。今私が日本人としてフランスでプレーし重宝して頂いているのは、吉田 義男さんの功績のお陰だと心から感謝しています。
 ただし、吉田 義男さんがフランスに来たと言っても、当時フランス人にとっては吉田さんって誰だという状況でした。

 当時のことでこんな話があります。吉田さんがフランス代表を率いて来日し、大阪産業大学などに遠征した際、フランス代表の選手たちと甲子園球場に阪神タイガースの試合を観戦しに行く機会がありました。その際に吉田さんに大勢のファンがサインを求めて押しかけてきたそうで、フランス代表の選手たちがその光景を目を丸くして見ていたそうです。その時にフランス人選手たちは、初めて吉田さんが日本では誰もが知っている偉大な方だと思い知ったそうです。それをきっかけにフランス人選手たちはみんな吉田さんの言うことをよく聞くようになったと聞いています。

 今でも吉田さんは毎年フランスにいらっしゃっているそうですが、当時と比べたら施設も格段に良くなっているし、当時と比べ物にならないくらい選手のレベルも上がっているとおっしゃっていました。

このページのトップへ

【次のページ】 フランスでプレーして感じたこと


【関連記事】
第7回 日本人がけん引するオーストリアリーグ【欧州野球紀行】
第6回 フランス野球[後編] フランス代表の新監督エリック・ガニエへの期待【欧州野球紀行】
第4回 MLBも注目!! ドイツ野球のポテンシャル【欧州野球紀行】
第3回 ドイツ出身選手で初のメジャー昇格したドナルド・ルーツは、どんな選手?【欧州野球紀行】
第2回 ヨーロッパの野球事情と、オランダ野球【欧州野球紀行】

コメントを投稿する

コラム