石田雄太の斜説

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第5回 MLBの黒船に日本野球界はどう動くのか2013年10月02日


プロ野球ドラフト会議2013特設サイト

 まずは、何が騒動の火種になっているのか、整理してみよう。
 日本とアメリカの球団が相手の国の選手を獲得したいとなった場合には、身分照会という手続きが必要になる。その流れをおおまかに説明すれば、まず日本の球団が獲得を希望する外国人選手の名前と現在の所属球団をNPBに提出する。NPBはMLBに対して、日本の球団がこの選手の身分照会を希望していると伝達する。MLBはその選手の保有権が現時点でどの球団にあるのか、あるいはフリーエージェントなのか、アマチュアの場合はドラフト対象選手なのかといったステイタスを確認し、NPBに回答する。NPBはその回答を日本の球団に伝え、ようやく日本の球団はその選手と獲得を前提とした交渉を開始することができる。

 もちろん、アメリカの球団が日本の選手を獲得しようというケースでも、MLBからNPBに対してまったく同じ身分照会の手続きが求められる。ところが先月、ドジャースが日本の社会人のクラブチーム「エディオン愛工大OB BLITZ」に所属する19歳の沼田 拓巳投手とマイナー契約を結んだと発表して、大騒ぎになってしまったのだ。

 沼田はプロフィールによれば、185センチ、85キロの本格派右腕。岐阜の大垣日大高の出身で、在学中、大垣日大は2度のセンバツ出場を果たしているが、エースは全国にその名を轟かせた左腕の葛西 侑也(現、新日鐵住金東海REX)が務めており、沼田は一度も甲子園のマウンドには立てなかった。名古屋の大学を中退して入ったクラブチームでは140キロ台後半のストレートを投げるピッチャーに成長したそうだが、残念ながら投げているところを生で見たことはない。

 その沼田を評価した大慈彌スカウトが獲得をドジャースに打診し、獲得へGOが出た。そこでドジャースは、MLBを通じてNPBに身分照会をする。NPBはMLBからの身分照会を受け、こう回答したはずだ。
「身分照会のあった『沼田 拓巳』は、日本野球連盟に所属する社会人1年目の選手で、2014年の秋までのドラフト凍結選手である」

 身分照会の回答は、原則、選手のステイタスを回答するに留まる。だから契約していいとか、いけないとか、そういうところまでは踏み込まない。あくまでNPBがMLBに対して、現時点での国内ルールの範疇でどういう身分の選手かを伝達するだけだ。したがって、沼田の身分照会を行なっていたドジャースの手続きに、ここまでは何の落ち度もない。問題はこの身分照会の回答を受けて、ドシャースが、あるいは大慈彌スカウトが、何をどう考え、沼田との契約に至ったのか、というところにある。

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