石田雄太の斜説

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第6回 松坂大輔の現在地2013年11月05日

 メッツとの契約が決まった翌8月23日、ニューヨークでのタイガース戦でいきなり先発のマウンドに立った松坂は、4回を投げて2本のホームランを打たれ、5失点を喫して負け投手となった。さらにその後も立て続けにノックアウトを喰らい、移籍後、3度の登板で防御率は10・95まで跳ね上がった。試合後、松坂はこうコメントしている。
「見ての通りです。何の言い訳もできないですね。ずっと野球をやってきて、我慢しなきゃいけない時期というのは何度かありましたけど、今はよくなるきっかけも見つかりません。まだまだ我慢しながら、やっていくしかありません」

 あまりに内容のよくないピッチングが続いての3連敗を喫したとあって、メディアは俄に限界説を語り始める。やれストレートの平均スピードが落ちているとか、デカくなりすぎだとか、フォームがダメだとか、ダルビッシュや岩隈と違って松坂はメジャーにアジャストできなかったんだとか(エトセトラ)。
 ダルビッシュ 有や岩隈 久志のメジャーでのピッチングはもちろん素晴らしいと思うが、まだ2年を終わったところだ。単純にメジャーへの移籍してから2年の勝敗数で比べてみても、ダルビッシュは29勝18敗、岩隈が23勝11敗、松坂は33勝15敗だ。アジャスト云々をこの二人と比較するのはナンセンスだろう(野茂さんは29勝17敗)。

 屈辱の3連敗を喫した後、松坂は結果を出すためにある”ジョーカー”を切った。

 それが、カーブである。

松坂大輔投手(横浜高校時代)

 最速で90マイルが出ないなら、最遅で70マイルを切れば、20マイル、約30キロの緩急差が生まれる。しかしカーブは、右ヒジの使い方が他の球種とは異なり、傷跡が引っ張られる感じがして、術後はなかなか投げられなかった。
「実際にカーブを使い出すと、ヒジが気になりました。でも高校時代から、カーブを投げるとヨコ振りになったフォームをタテ振りに修正できたんです」
 松坂のカーブは、効果的だった。
 相手への緩急をつけるだけではなく、自らの体の使い方をタテ振りに戻り、指先の力をしっかりボールに伝えられるようになった。その結果、力のあるストレートが低めに決まり、相手のバットを一押しするピッチングでシーズンを締めくくることができたのだ。

 しかし、これは松坂の本意ではないと思う。
 目指すべきフォームも、投げたいボールもさておいて、次のシーズンにつながるピッチングをするために、結果を最優先させるピッチングをしたのだろう。それで勝てるのだから、たいしたものだと思う。
 そもそも、松坂の上体が大きくなり、日本のときとフォームが変わったのには理由がある。「松坂は投げ方が悪い」「ライオンズの頃とは全然違う」「昔のフォームに戻すべきだ」といった声をよく耳にするが(当たり前だ)、確かに彼は、ライオンズの頃とは違うフォームで投げ、必要があるから上体を鍛えてきたのだ。

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