石田雄太の斜説

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第8回 ポスティング・システムの渦巻き2014年01月07日

 呑気な話だねぇ。
 例によって、MLBにしてやられたNPBの話だ。
 もちろん、年末に日米間で合意を見た、新ポスティング・システムの一件である。”超大物”(日本一&24勝0敗)が無事にアメリカへ旅立てば一件落着とでも思っているのだろうか。だとしたら、とんでもなく呑気な話だと思う。

 そもそもポスティング・システムというのは、本来、FA権のない選手がメジャーに挑戦したいと願ったとき、その夢を叶えるために、そしてその選手の保有権を持つ球団にもメリットを生じさせるために、日米間で1998年に合意した制度だ。その根本的な精神は、選手にとっては「カネじゃない、どこのチームでも構わない、とにかくメジャーでプレーしたい」という夢を叶えるところにあったはずだし、球団にとっては「金銭的な面も含めて抱えきれなくなった選手の保有権を、カネで売る」というところにあったはずだ。

 それがいつしか、球団を選べないなんて選手に不利だとか、結局は球団の思惑はカネだなんて不純だとか、何を今さらという話が飛び交って、混沌としてしまった。その最大の要因は、2012年12月に失効していた制度をどうするのかについて先送りにしてきたところにある。どうせ大幅な変更もなく、継続すればいいだけの話だと呑気に高をくくっていた感のあるNPBに対し、せっかくの見直しのチャンスを逃してなるものかとスキあらば食い付いたMLBが交渉事として向き合えば、時間的猶予のないNPBが足元を見られるのは当然だ。時間的猶予がないというのは、つまりこのオフ、NPBの”超大物”(何しろ今シーズン、24勝0敗だ)がメジャー行きを希望するのではないかという”噂”(本人は何も語らないうちに既成事実化していたが……)が世の中に広まり、何としてもこのオフの早い時期に、じつは失効していたポスティングシステムを新たに成立させなければならなくなったのがNPBだった、ということだ。実際、MLBは(本音かどうかはともかく)、「MLBとしてはポスティングシステムが有効でなくとも、日本の選手(24勝0敗の超大物)がFA権を取るまで待つ準備はある」などと余裕のコメントをかましているわけで、つまり焦らされたのはNPB、という図式が出来上がってしまったのである。
 上から目線のMLBという、いつもの展開である(やれやれ)。

 そもそも、ポスティングシステムとは何なのかを理解するために、まず、これまでの旧システムには、MLBの球団とNPBの球団、メジャー移籍を希望する選手の三者のそれぞれにメリットとデメリットがあった、ということを理解しなければならない。それをおおまかに言えば、こうなる。MLBの球団は、FA権を持たない日本の選手を獲得できる反面、移籍金を支払わなければならない。NPBの球団は、FA権を持たない主力選手を失う代わりに、移籍金を得ることができる。選手は自由に球団を選べない代わりに、FA権を取得していないのにメジャー球団への移籍を果たせる。

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