石田雄太の斜説

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第8回 ポスティング・システムの渦巻き2014年01月07日

昨年10月31日、フリーエージェントとなった松坂大輔投手(写真はメッツ時代)

 やはりと言うべきか、今回の交渉でMLBは、己のメリットはそのままに、デメリットだけを埋めようとした。つまり、青天井の移籍金を何とか抑えようと画策し、あれこれとアイディアを出してきたのである。NPBの球団は何とかそれを最小限に食い止めようとし、相変わらず置いてきぼりのNPB選手会はささやかな抵抗を試みる。すると、そのささやかなはずの抵抗が、MLBの凄腕によってささやかでなくなり、逆にNPBやNPB選手会が真っ青にさせられるという反撃を喰らうなど、あれこれといろいろな紆余曲折があった(面倒なので、そこの詳細は省く)。

 ところが、である。
 最終的に合意した新ポスティング・システムは、一転、NPBの選手に大いなるメリットが生まれる内容となった。何しろMLBからの評価が高い選手は、複数の球団から選べる可能性が生まれたのである。
 新システムの改正ポイントは3つある。
 MLB球団からNPB球団に支払われる移籍金の上限2000万ドルで分割払い可。
 申請期間は11月1日から2月1日、交渉期間は公示翌日から30日間。
 入札金を支払う意思のあるすべてのMLB球団が交渉可能。

 つまり、こういうことになる。
 NPB球団は、保有権を有する選手がメジャー球団への移籍を希望した場合、その選手の名前と同時に、希望する移籍金の金額を、2000万ドルを上限として、日米コミッショナーを通じてメジャーの球団に告知する。その告知を受けて、その額を承諾したすべての球団は、定められた期間内、選手と自由に交渉できる。それが1球団なのか、複数球団なのか、あるいは移籍金が高すぎて応じる球団がないのか、そこは蓋を開けてみなければわからない。結果、選手との契約に合意したMLB球団が、あらかじめ公示された移籍金をNPB球団に支払えば、NPB球団は希望通りの金額を受け取れるわけだし、選手も手を上げる球団が複数あれば選ぶことができる。MLB球団も他球団とムダな駆け引きを行って余計な移籍金を支払わずに済む。独占交渉権ではないのだから破談になった場合の罰金も必要なくなるし、破談前提の入札なんて疑惑を持たれることもない。

 しかも、松坂 大輔ダルビッシュ 有に続く”超大物”(なんといっても24勝0敗なのだ)の入札金がどこまで高騰するのかと不満を漏らしていた資金力に乏しい球団にとっても、ぜいたく税に含まれない入札額(移籍金)に上限が定められるのはありがたい話だった。それは、公示された移籍金が安いから獲得合戦に参加できるという類の話ではない。マネーゲームになって選手の年俸が跳ね上がり、資金不足から交渉の舞台裏で蚊帳の外に置かれたとしても、獲得球団の年俸負担がそのままぜいたく税の対象となれば、税金として収められたそのカネはやがて己の懐にも巡り巡ってくるわけで、ま、それもいいかと納得したというだけの話なのである。

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