第2回 投手がゴロを打たせることのメリットとリスク2014年06月07日

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第2回 投手がゴロを打たせることのメリットとリスク

【目次】
[1] 広島躍進を支える投手陣の強み / ゴロは投手にとってなぜ安全か
[2] 「ゴロを打たせること」と「ゴロがアウトになること」は別の話 / 奪三振能力の威力
[3] 三振は〈ギャンブル〉を減らす

 

1.広島躍進を支える投手陣の強み

 広島が強い。低迷から抜け出し、クライマックス・シリーズ(CS)初出場を果たした去年を上回るペースで勝ち星を積み重ねている。投打共に好調だが、前田 健太(独占インタビュー 【前編】 【後編】)を軸とする投手陣は特に盤石に映る。
 広島の投手陣の特長は、ゴロを打たせていることだと言われる。実際「投手が打たれた全打球に占めるゴロの割合」は、去年セントラル・リーグでトップの53.9%。今年も交流戦前までの数字だが、巨人の51.4%に次ぐ2位の51.1%を記録している。(リーグ平均は48.7%)

2.ゴロは投手にとってなぜ安全か

 投手の投球に関する成績と言えば防御率、奪った三振、与えた四球の数などをまずイメージする。ヒットの生まれた割合、打者にとっての打率を逆から見た被打率といったものも見かけるようになった。これらは「失点(自責点)」「三振」「四球」「安打」といった、対戦した打者の打席結果を集計して評価するものである。
 だが、そうした結果を切り離し、投手が投げたボールがバットに当たった際、物理的にどんな打球になったのかで投球を評価しようという考え方が近年広まってきている。この視点からだと、ゴロを打たせることは投手にとってプラス評価を下すことが多いのだが、そのロジックを紹介したい。

 2013年、プロ野球で生まれた全打球が物理的にどんな打球だったかを調べると、だいたい50%がゴロ、38%が外野フライ、残りの12%が内野フライとライナーという比率になっていた。
 大部分を占めるゴロと外野フライに注目すると、ゴロはその23%が、外野フライはその37%がヒット(ホームラン含む)になっていた。
 これらの数字は毎年動くが、データの収集で先行するMLBの事例などからも「ゴロが外野フライに比べ安打になりにくい」という関係性はプロのレベルでは不変であることが確かめられている。この事実をもって、ゴロは安打となりにくい打球=投手が打たせるべき打球だと判断されている。
 また、単純にヒットかアウトか、という見方ではなく、ヒットが長打になる可能性も加味すると、投手にとってのゴロの安全性はさらに高まる。よほど極端なシフトをとっていない限り、ゴロが長打になるのは一塁線または三塁線を抜いたときくらいしかなく、それ以外はまず単打にしかならないのは想像がつくだろう。フライは 外野手の間や後ろに打球が飛んでしまえば長打になる可能性が高い。フェンスを越えてホームランになるリスクもある。


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  • 合同会社DELTA
  • 2011年設立。スポーツデータ分析を手がける。代表社員の岡田友輔と、協力関係を結ぶセイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。
    書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える セイバーメトリクス・リポート1,2,3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクスマガジン1,2』(DELTA刊)、メールマガジン『Delta's Weekly Report』などの媒体を通じ野球界への提言を行っている。
  • 最新刊『セイバーメトリクス・リポート4』を3月27日に発売。

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