第3回 データを使った守備評価の基本(1) 「守備力をひっくるめて描写するDER」2014年07月08日

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データを使った守備評価の基本(1) 「守備力をひっくるめて描写するDER」

【目次】
[1] データを使った守備評価の原型「DER」
[2] DERの算出式を学ぼう
[3] DERでつかむ「失点の構造」

最新の守備指標に手をつける前に

 ここ数年、守備に関する選手評価が野球ファンの話題にのぼるようになった。古くからあった失策の数などを使って守備のうまさを計るのではなく、どれだけ広い範囲のボールを処理したかなどを算出して行う選手評価がアメリカで開発され、日本でも活用が始まりつつあるのは、熱心なファンならばご存知かと思う。Ultimate Zone Rating(UZR)やDefensive Runs Saved(DRS)といった指標の名前を聞いたことがある人もいるだろう。これらはアメリカでも新しい部類に入る指標で、メジャー球団の分析の前線でも使われている。

 しかし、新しい指標だけあり設計は複雑だ。守備の評価について長く議論してきた歴史があるアメリカにはその成り立ちを理解する下地はあるようだが、数字を使った守備の評価がほとんど行われてこなかった日本では、少しオーバースペックでスムーズに理解できるものとは言いがたい。指標の数値が紹介される際も「統計的処理を通じて算出する」というように説明に避けているケースが多い。

 にもかかわらず「実は、○○選手は□□選手よりもUZRが高い。本当に守備がうまいのは○○選手だ」といったセンセーション優先の扱いも目につき、数字の一人歩きも始まっている。これは好ましい事態とは言えない。細部の計算はともかく、指標がどのようなコンセプトで設計され、何をどう計算した結果であるかのイメージは持っておきたいところだ。それは数字で野球を語る際の最低限の責任だと言える。
 今回は、データで守備を評価する手法の原理の説明を通して「守備指標は何を描写しているのか」をつかんでいただけたらと思う。

シンプルだけど超重要な「DER」という数字

 多くの「データを使った守備評価」の原型と言えるのが、Defensive Efficiency Ratio(DER)という指標だ。セイバーメトリクスの指標の中では古い部類に入り、日本では「守備効率」などとも訳されている。UZRやDRSといった現在前線で活用されている指標も、さかのぼればDERにたどりつくと言っていい。

 考え方はとても単純だ。「フェアグラウンド上に飛んだすべての打球を、野手がどれだけアウトにしたか」を計り、チーム全体の守備の力を見出そうとするものである。なお、ファウルフライがアウトになったケースはそれも含めて計算しているので注意が必要だ。次のページでは、早速、DERの算出式を学んでいこう。


【次のページ】 DERの算出式を学ぼう


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プロフィール

DELTA
DELTA
  • 合同会社DELTA
  • 2011年設立。スポーツデータ分析を手がける。代表社員の岡田友輔と、協力関係を結ぶセイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。
    書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える セイバーメトリクス・リポート1,2,3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクスマガジン1,2』(DELTA刊)、メールマガジン『Delta's Weekly Report』などの媒体を通じ野球界への提言を行っている。
  • 最新刊『セイバーメトリクス・リポート4』を3月27日に発売。

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