第6回 成績の平均値を考慮すると見えてくるもの2014年09月09日

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成績の平均値を考慮すると見えてくるもの

【目次】
[1] 揺れ動くプロ野球の記録
[2] 平均をどれだけ引き離していたか、という視点
[3] 守備位置の異なる選手の成績比較

「素晴らしい選手」の基準は変わる

 プロ野球の世界には、好成績の目安とされるような数字がある。打者なら「3割」「30本塁打」、投手なら「15勝」や「防御率2点台」といったあたりだろうか。こうしたものを基準に選手の評価をすることはよくあり、おおまかな評価としては機能している。しかし、もう少し精密に選手を評価したければ、基準の数字は固定せず、リーグ全体の環境に合わせて決めたほうがいい。

 わかりやすいのは低反発球が使われた2011年、12年のNPBのケースだろうか。この2年間は、打者の記録の多くが低く抑えられたことは話題になった。セ・リーグの総本塁打を例にとれば、2010年には863本だったが、2011年が485本、12年が454本と激減。反発係数が変更された2013年は714本と再び増加した。
 低反発球が使われた2年間、NPBは本塁打が生まれにくい環境にあったわけだが、この期間に打者が「30本」を打つことの価値は別の期間とはかなり違う、という理屈は納得しやすいと思う。

歴史的に、記録はどれくらい動いてきたか

 基準を固定せずに選手の評価をしていく上で、最初につかんでおきたいのは記録自体がどの程度の幅をもって動いてきたかだ。



 戦後、セ・リーグの本塁打は、総数が400本から1000本とかなりの幅をもって動いている。500打数当たりに換算すると10本弱から20本強までの間を動いてきた。平均すると13.7本で、内訳は次のような感じだ。なお、投手が打った本塁打は除いている。また1946~49年は1リーグ時代の数字である。

~4本2回
5~10本11回
11~14本27回
15~19本27回
20本~1回

 こうした数字を見れば「30本」を好成績と見なすのが、ある程度妥当なのがわかる。ただし、シーズン間で幅があるのも事実で、30本を好成績だというべきシーズンもあれば、それ以上のかなりの好成績だとみなすべきシーズンもある。「基準を固定すること」は必ずしも適当でないことがわかると思う。

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プロフィール

DELTA
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  • 合同会社DELTA
  • 2011年設立。スポーツデータ分析を手がける。代表社員の岡田友輔と、協力関係を結ぶセイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。
    書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える セイバーメトリクス・リポート1,2,3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクスマガジン1,2』(DELTA刊)、メールマガジン『Delta's Weekly Report』などの媒体を通じ野球界への提言を行っている。
  • 最新刊『セイバーメトリクス・リポート4』を3月27日に発売。

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