第8回 データで振り返る2014年ペナントレース(1)セ・リーグ編2014年11月26日

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【目次】
[1] 優れた出塁率・長打率のヤクルト・広島が得点を量産
[2] 投手力の阪神、守備力の中日、コンビネーションの巨人

[3] 攻守両面からチームの能力を眺める

投手力の阪神、守備力の中日、コンビネーションの巨人

 続いて、投球と守備によって抑止を計る失点を見ていこう。


 単純に失点数で見ると1試合平均で唯一3点台だった巨人が1位、中日、広島と続く。得点でトップだったヤクルトは最下位、シーズン2位となり日本シリーズに出場した阪神もあまり振るわなかった。

 データを精査すると、チームごとの異なる事情が見えてくる。失点数こそパッとしないが、投手陣に限れば阪神はリーグでもトップクラスだった。奪三振(K%)、与四死球(BB%)、被本塁打という野手の守備が関係しない成績では、どれも良い値を残している。これだけの投手力がありながら失点数がうまく減らなかったのは、Defense Efficiency Ratio(DER)の値の低さから、守備力が原因だったことが疑われる。打球を野手が効率的に処理できなかったために失点が増えてしまったようだ。(第3回『データを使った守備評価の基本(1)「守備力をひっくるめて描写するDER」』参照)

 対照的なのが中日。投手の成績は良くないが、リーグトップのDERにより失点を防いでいたようだ。巨人は奪三振(K%)、与四死球(BB%)、被本塁打とDERどれも上位であり、その上で失点数が最も少ない。投手と野手の総合力で失点を防ぐことができていたと見られる。

ゴロピッチャーと優れた内野陣の相乗効果を生かした巨人・広島

 失点についてさらに踏み込み、打球の処理状況を見てみる。(第4回『データを使った守備評価の基本(2)"「DER"の次のステップ」』参照)


 巨人の投手陣が打たせた打球の内訳を見ると、ゴロ、フライ、ライナーのうちゴロの割合が50%を超えて僅差のリーグ2位となっている。また、内野手がゴロを処理できた割合(ゴロアウト%)はリーグトップ。
 これらのことから巨人は長打になる可能性の低いゴロを多く打たせそれを優れた内野陣により高い割合でアウトにしていたと言えるだろう。巨人の少ない失点を考えれば、失点を減らす上で好ましい傾向であることがうかがわれる。(第2回『投手がゴロを打たせることのメリットとリスク』参照)

 一方で外野フライを多く打たせる投手と優秀な外野という組み合わせで、失点をうまく減らしているチームは見当たらない。阪神はまさにそういうスタイルだが、奪三振、与四死球、被本塁打で算出する独立した投手の能力(Fielding Independent Pitching:FIP)で稼いだものを食いつぶし、失点を上手く減らせていないようだ。DeNAも近い傾向が見られる。中日もよくフライを打たれているが、ゴロをある程度アウトにできていたため、失点は減らせていたようだ。

 最もフライを打たれる確率が高かったヤクルトは多くの本塁打も浴びることとなり、失点数でリーグ最下位に沈んだ。

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プロフィール

DELTA
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  • 合同会社DELTA
  • 2011年設立。スポーツデータ分析を手がける。代表社員の岡田友輔と、協力関係を結ぶセイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。
    書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える セイバーメトリクス・リポート1,2,3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクスマガジン1,2』(DELTA刊)、メールマガジン『Delta's Weekly Report』などの媒体を通じ野球界への提言を行っている。
  • 最新刊『セイバーメトリクス・リポート4』を3月27日に発売。

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