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第13回 失点少ない巨人とソフトバンク。その理由はどこに? ——2015年は野球観戦を数字で楽しむ[失点編]2015年07月10日
【目次】
[1] 一般的な失点のとらえ方
[2] 数字を得やすい三振と四球 〜投手力の責任範囲〜
[3] 巨人とソフトバンクは守備も好調? 〜野手の打球処理〜
数字を得やすい三振と四球

失点につながる数字のうち、奪三振と与四死球は公式記録として公表されているので、ファンがチェックするのは簡単だ。
今シーズンはセでは阪神と巨人が高い割合で三振を奪っていて、投手陣の地力を感じさせる。パはソフトバンクの次に楽天がつけている。
個別の選手を見ていくと、先発投手では大谷 翔平(日本ハム)(関連記事)や菊池 雄星(西武)(2010年インタビュー・2011年インタビュー・2014年インタビュー)らが30%を超える割合で三振を奪っている。30人の打者と対戦すれば9個以上のペースだから相当のものだ。
四球については、セは巨人が突出。パはソフトバンク、ロッテ、楽天などが少ない。
個別の選手を見ると、石川 歩(ロッテ)が76.2イニング、319人の打者と対戦しわずか9個。35人の打者と対戦して1つというペースで、これはかなり少ない(ただし死球は4つありこちらは多い)。ヤクルトや楽天の先発投手の四球の少なさも目立つ。
打球管理で光るジョンソン(広島)とディクソン(オリックス)

被安打のうちの投手の責任ということができる打球管理はどうとらえればいいのか。
投手がどんな打球を打たせたかの数字は、残念ながらNPBでも大手メディアでも集計・発表は行われていない。
集計には映像などが必要なので、個人ではなかなか難しいが、簡易的な集計なら各打者の打席の結果が記載されたボックススコアを使えば、手間はかかるが不可能ではない。
対戦打席結果の中からアウトを奪った打席に着目し、そこにゴロによるアウトとフライによるアウト(ライナーは除く)を拾い出し、その数字の比率(ゴロアウト/フライアウト)から投手の打たせていた打球を推測する方法である。
ただし、この方法だとヒットになった打球がゴロだったかフライだったかを無視して計算することになるので、どうしても誤差は出る。またバックを守る守備力の影響も大きい。それでも打球管理の状況について、ヒントを与えてくれる数字ではある。
※今シーズンこれから数字を集計してみようという方に向けて、6月20日終了時点までの各チームのゴロアウト数、フライアウト数を記載しておく(チーム/試合/ゴロアウト/フライアウト)。
巨人/68 /638/516 阪神/65/575/477
DeNA/68/666/500 中日/68/653/537
広島/65/676/455 ヤクルト/66/616/554
ソフトバンク/65/626/512 日本ハム/66/664/516
西武/66/605/556 楽天/66/637/492
ロッテ/65/598/512 オリックス/68/675/507
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- DELTA
- 合同会社DELTA
- 2011年設立。スポーツデータ分析を手がける。代表社員の岡田友輔と、協力関係を結ぶセイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。
書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える セイバーメトリクス・リポート1,2,3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクスマガジン1,2』(DELTA刊)、メールマガジン『Delta's Weekly Report』などの媒体を通じ野球界への提言を行っている。 - 最新刊『セイバーメトリクス・リポート4』を3月27日に発売。