第6回 横浜DeNAベイスターズ 井納 翔一投手【後編】「JAPANを経験して味わった海外の洗礼」2015年08月12日

これまでの井納選手インタビューは以下から
横浜DeNAベイスターズ 井納 翔一投手【前編】「様々なめぐり合わせから掴んだ侍ジャパンのマウンド」
井納 翔一投手インタビュー【前編】「続ければこそ――」(高校野球ドットコム)
井納 翔一投手インタビュー【後編】「考え方一つで視界は変わる」(高校野球ドットコム)
【目次】
[1]スプリットに秘められた投球哲学の変化
[2]「さすがだと感じた」カノのバッティング / 国際経験
後編では、侍ジャパンで経験したこと、また今の井納選手の投球スタイルを築き上げた社会人時代のエピソードについても振り返っていただいた。
スプリットに秘められた投球哲学の変化

井納 翔一投手(横浜DeNAベイスターズ)
「小久保監督が就任されての侍ジャパン1戦目。1勝目がかかった試合で、僕の役割はセットアッパー。緊張しました」
侍ジャパン初登板は4対2でリードした8回裏から3番手として。1回打者4人を18球、1アウトからヒットを許すも3つのアウトを全て三振で切って取り、失点0で新生侍ジャパン初勝利に貢献した。
続く第3戦でも3番手で登板。1対0でリードの8回裏から先頭打者にヒットを許すも後続を断ち、わずか7球で0点に抑えチームの3連勝に貢献した。
「3戦目は代表3連勝というのもありましたけど、横浜のチームメイトである三嶋 一輝が先発して頑張って3イニング投げ、勝ち試合を作れている中でまわってきたので緊張しました」
3奪三振を奪った1戦目の登板と、7球で抑えた3戦目の登板。どちらが本来の井納投手のピッチングなのか。
「まずは点を取られなければこの世界ならOK。結果的に球数少なく0失点であればよりいいかなと。今自分がよく言っているのは投球数を少なくしたいということ。積極的なチーム相手だったら初球からフォークを勝負球で投げることもあります。それで相手が打ち損じれば、1球でアウトがとれる。その継続で1イニングごとの投球数が減って自分のリズムとすることができれば、長いイニングを投げられることにもつながってきます」
この考えは、社会人4年目に飛躍のきっかけとなったスプリットの習得時に身についたものだ。
「フォーム修正とともにスプリットを覚えたのが大きかった。それまではフォークを落とそうとして腕の振りが緩まっていたんですかね、相手に読まれていました。そこでコーチと『ちょっと沈めばいい』という話をしてスプリットを投げるようになりました」
それまでは三振を奪いにいく傾向があった。しかし、アウトを取る認識をがらりと変えた。
「教えられたのは、三振というのは結果的に生まれるものであってアウトを取った時のおまけみたいなものだと。それは、場面によっては狙って奪いにいくこともありますけど、全部三振を奪える人がいるわけではありません。三振もゴロもフライもアウトには変わりない。自分としてはカーブ、フォーク、それに緩急をつけることでゴロにできる可能性を探っていこうと。スプリットもその手段の一つです」
【次のページ】 「さすがだと感じた」カノのバッティング / 国際経験

- 井納 翔一 (いのう・しょういち)
- 横浜DeNAベイスターズ
- 経歴:木更津総合高-上武大-NTT東日本-横浜DeNAベイスターズ
- ポジション:投手
- タイプ:右投右打
- 身長体重:188センチ91キロ
- 生年月日:1986年5月1日
- 上記データは掲載時のものとなります。