第6回 横浜DeNAベイスターズ 井納 翔一投手【後編】「JAPANを経験して味わった海外の洗礼」2015年08月12日

これまでの井納選手インタビューは以下から
横浜DeNAベイスターズ 井納 翔一投手【前編】「様々なめぐり合わせから掴んだ侍ジャパンのマウンド」
井納 翔一投手インタビュー【前編】「続ければこそ――」(高校野球ドットコム)
井納 翔一投手インタビュー【後編】「考え方一つで視界は変わる」(高校野球ドットコム)
【目次】
[1]スプリットに秘められた投球哲学の変化
[2]「さすがだと感じた」カノのバッティング / 国際経験
「さすがだと感じた」カノのバッティング

井納 翔一投手(横浜DeNAベイスターズ)
井納投手の侍ジャパンでの登板は続く。次の機会は2014年11月10日~20日に行われた「2014 SUZUKI 日米野球」だった。メジャーリーガーとの初対戦だ。
登板は第2戦と第5戦の2度。11月14日の第2戦では7回裏から3番手で登板。2回を打者7人に対し28球、被安打2の自責点1という内容。11月18日の第5戦では5回表から2番手で登板。3回を打者14人に対し57球、被安打5、四球1、自責点1の奪三振1という内容だった。
「メジャーのバッターは日本のバッターとは違いました。日本では追い込まれてから粘ろうとするスイングになるケースが見受けられます。その点、メジャーの選手たちは全部フルスイングしてくる。打ち損じやタイミングのズレでファールになることはあっても、カットしてファールになることはまずありません。そこが大きく感じた違いです。
印象に残っているのは第2戦の8回裏、1アウト三塁からカノに打たれたレフト線のタイムリー。カウントが3-1で、次が真っ直ぐだとは相手も分かっていたと思うんです。でも僕もフォアボールを出したくないから思い切って投げたら普通に打たれて。レフトを守っていた中田 翔(2009年インタビュー・2014年インタビュー)の追い方を見ていてもホームランになるかと思いました。結果、スタンドには入らなかったですけど、さすがだと感じました」
普通、印象に残っているシーンを聞かれると自分が“好投した”場面を振り返るケースが多い。しかし、井納投手が振り返ったのは逆に“強打された”場面。思いきり投げる。思いきり打つ。結果うんぬんでなく、単純にボールの球筋に美しさを感じている。このコメントに、野球ができることに対しての喜びがにじんでいた。
国際経験
そして迎えた2015年シーズン。井納投手は3度目の侍ジャパン入りを果たす。3月10日、11日に行われた「ひかりTV 4K GLOBAL BASEBALL MATCH 2015 侍ジャパン 対 欧州代表」の第2戦で登板。4回裏から2番手としてマウンドに登り、2回打者7人に対して被安打1、奪三振4で0封。ヒットを打たれた場面以外は、全て早めに追い込む攻めのピッチングで好投した。
「メジャーの選手と同様、どんどん積極的にきていた印象は同じでした。やはり国対国、互いに代表選手として出場する試合は特別な経験になります」
ストライクを先行させ主導権を握り、球数を少なく打たせて取る。前述したように「球数を少なくする」ことは、DeNAでも目指しているスタイルだが、侍ジャパンでの経験と無関係ではないだろう。見据える先は世界基準。井納 翔一投手のピッチングはこの先いかなる進化を遂げていくのか。その歩みに注目だ。
(取材/文=伊藤 亮)

- 井納 翔一 (いのう・しょういち)
- 横浜DeNAベイスターズ
- 経歴:木更津総合高-上武大-NTT東日本-横浜DeNAベイスターズ
- ポジション:投手
- タイプ:右投右打
- 身長体重:188センチ91キロ
- 生年月日:1986年5月1日
- 上記データは掲載時のものとなります。