第9回 【小関順二のドラフト指名予想】千葉ロッテマリーンズ編2014年10月20日

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【目次】
[1] 大学、社会人中心の指名傾向を脱却できるか
[2] ポテンシャルが高い高校生野手を獲得し、チームに活力を

千葉ロッテマリーンズ 今季戦績

 144試合 66勝76敗2分 勝率.465 パ・リーグ4位

大学、社会人中心の指名傾向を脱却できるか

今季10勝を挙げた石川歩(東京ガス)
新人王としての期待がかかる

 ロッテはドラフトで大学生と社会人を主体にして選手を獲得している球団だ。総勢65人の出自は、高校卒20人、大学卒19人、社会人(独立リーグ含む)出身15人、移籍6人(高校卒も大学卒も移籍してきた選手はここに入れた)、外国人5人という内訳になっている。

 対照的に高校生を主体にしたチーム作りをしているのが日本ハムだ。68人中、高校卒23人、大学卒14人、社会人13人、移籍12人、外国人5人、その他1人(直メジャーの多田野数人)という内訳である。

 何だ、大して変らないじゃないかと思われたかもしれないが、統一ドラフトになった08年以降、ロッテが1、2位の上位で高校生を指名したことは一度もない。育成ドラフトを除くドラフトで30人を指名しているが、そのうち高校生は5人だけ。

 対する日本ハムは6年間のドラフトで中村 勝西川 遥輝松本 剛インタビュー)、大谷 翔平森本 龍弥インタビュー)、渡邉 諒の6人を上位で指名し、下位指名まで含めた総勢41人のうち高校生は17人と大所帯だ。この中から中島 卓也、中村、西川、近藤 健介上沢 直之 インタビュー)、大谷が早くもチームの主力に定着している。

 ロッテの高校卒は、福浦 和也(インタビュー)93年、サブロー94年、今江 敏晃(インタビュー)01年、成瀬 善久03年、唐川 侑己2011年インタビュー2012年インタビュー)07年(西野 勇士08年育成ドラフト)の指名年次でわかるように、主力のほとんどは07年以前に指名されている。

 高校野球の世界に目を向けると、「甲子園では勝つのに、プロで活躍する選手が少ない」という強豪校がいくつかある。その特徴は「(中学生として)完成度が高く、出来上がるのに時間のかからない小柄な選手を主体に獲得する」という補強戦略が影響していると思う。ロッテのドラフト戦略と相通じる部分がありそうだ。

 かつてのPL学園や現在の大阪桐蔭は、そういう完成度の高い選手も獲るが、清原 和博(元西武など)や中田 翔(日本ハム)(2009年インタビュー2014年インタビュー)のようなスケールの大きい選手も獲る。そういう好バランスが甲子園で勝ちながら、プロで活躍する選手も輩出する原動力になっている。


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プロフィール

小関 順二
小関 順二
  • 出身地:神奈川県横須賀市生まれ。
  • ■ プロ野球のドラフト(新人補強)戦略の重要性に初めて着目し、野球メディアに「ドラフト」というカテゴリーを確立した。ストップウオッチを使った打者走者の各塁走塁、捕手の二塁スローイングなど各種タイムを紹介したのも初めてで、現在は当たり前のように各種メディアで「1.8秒台の強肩捕手」、「一塁到達3.9秒台の俊足」という表現が使われている。
  • ■ 主な著書に『プロ野球問題だらけの12球団』(年度版・草思社)、『プロ野球スカウティング・レポート』(年度版・廣済堂あかつき)、『ドラフト物語』(廣済堂あかつき)、『野球力』(講談社+α新書)、『プロ野球サムライたち』(文春新書)などがある。
  • ベースボールファン(有料コラム)では、「野球を歩く」を寄稿、野球ファン必見の野球歴史コラムを配信している。 
  • 小関順二公式ブログ

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