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第6回 白星発進!鈴木誠也(広島)に続け!大ブレイクを誓うU-23の戦士たち2016年10月29日
【目次】
[1] U-23の顔ぶれを紹介!
[2] 実績よりも才能重視の選考 彼らは才能を開花させることができるか?
実績よりも才能重視の選考 彼らは才能を開花させることができるか?

田嶋 大樹(JR東日本)
それから2年後の今シーズン、鈴木と北條が大活躍したことは偶然ではない。選手が成長するために欠かせない「人との出会い」や「得難い経験」が21Uワールドカップの現場には確実にあった。
今回、メキシコで行われる第1回 WBSC U-23ワールドカップに出場するプロ18人、アマ6人の顔ぶれを見ると、2年前の鈴木 誠也や北條 史也がファームの常連だったように、今年の選手も発展途上にいる。はっきり一軍の戦力と言えるのは投手の安樂 智大(楽天)くらいで、アマ側も投手の田嶋 大樹(JR東日本)以外は「将来のプロの候補」とも断言できない。
たとえば、永谷 暢章(履正社→JR東日本)という投手は、ヤクルトに1位指名された寺島 成輝(履正社)の1年先輩、くらいの認識しか得られていないと思う。今年の都市対抗の予選では1試合も投げておらず、チーム内での序列は田嶋、片山 純一、板東 湧梧、進藤 拓也より下と言っていい。それでもジャパンのユニフォームを着用して国際大会に出られるのは、ジャパンのユニフォームや国際大会の経験が、眠っている大きな素質に化学反応を起こることを指導者たちが知っているからだ。
プロでは広島の塹江 敦哉が素質豊かな左腕だ。今年のフレッシュオールスターゲームではウエスタン選抜の8番手として登板し、ストレートが最速153キロを計測して驚かされた。ちなみに、私の目にした限りでは塹江以上に速かったのは高橋 純平(ソフトバンク)の154キロだけで、150キロ台は他に多和田 真三郎(西武)の151キロだけだった。
この塹江の今季のファーム成績は17試合(73.1回)に登板、2勝3敗、防御率5.77で、与四死球41、奪三振53というもの。私が重要視する与四死球率は5.03、奪三振率6.50は誉められたものではない。しかし永谷と同様に、経験をばねにして成長するであろう素質の大きさが評価されたのは間違いない。
野手では丸子 達也(広陵→早稲田大→JR東日本・一塁手)、佐野 洋樹(一関学院・捕手)のアマ勢に、廣岡 大志(ヤクルト・内野手)、三好 匠(楽天・内野手)などに注目する。丸子は高校時代から類まれな長打力が評価されていたが、大学でくすぶり続け、ようやく今年になって素質開花の予感を見せ始めている。はたして2年後の今頃、鈴木 誠也のような豊かな果実の実りを目にすることができるだろうか。
(文・小関 順二)

- 小関 順二
- 出身地:神奈川県横須賀市生まれ。
- ■ プロ野球のドラフト(新人補強)戦略の重要性に初めて着目し、野球メディアに「ドラフト」というカテゴリーを確立した。ストップウオッチを使った打者走者の各塁走塁、捕手の二塁スローイングなど各種タイムを紹介したのも初めてで、現在は当たり前のように各種メディアで「1.8秒台の強肩捕手」、「一塁到達3.9秒台の俊足」という表現が使われている。
- ■ 主な著書に『プロ野球問題だらけの12球団』(年度版・草思社)、『プロ野球スカウティング・レポート』(年度版・廣済堂あかつき)、『ドラフト物語』(廣済堂あかつき)、『野球力』(講談社+α新書)、『プロ野球サムライたち』(文春新書)などがある。
- ベースボールファン(有料コラム)では、「野球を歩く」を寄稿、野球ファン必見の野球歴史コラムを配信している。
- ■ 小関順二公式ブログ

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