第9回 【侍ジャパン強化試合】日本vsオランダ「世界水準のクリーンナップと、やや物足りない投手陣」2016年11月12日

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筒香 嘉智(横浜DeNAベイスターズ)

 このオランダ戦では小技と大技が融合した攻撃を、1対5で迎えた5回裏に見せた。先頭の大谷が右中間に大ホームランを放つと、2死一塁から四球を挟んで4本の長短打をつらね、一挙に6点を入れ7対5としたのだ。大谷のホームランは低めぎりぎりの難しいコースの球を捉えたもので、大谷の対応力の高さを再認識させられた。

 逆に動きの幅を小さく抑えた“自分の型“で二塁打を放ったのが筒香だ。形より対応で打つ大谷に対して定型で打つ筒香の強みは、自分のストライクゾーンに来た球は高い確率で捉えられるという安定感にある。この2人に中田を加えた3人で形成するクリーンアップは世界水準に達していると思う。

 オランダ戦に話を戻すと、野手にくらべて投手には物足りなさがあった。若手投手陣の「自分のピッチングが世界にどれだけ通用するか」という力試し的なピッチングは往々にして一本調子になりやすく、この日なら藤浪 晋太郎(阪神)、大瀬良 大地(広島)がオランダ打線の餌食になった。速いストレートだけではダメで、低めのボールゾーンに外れる変化球を多投しても見逃され、カーブや変化の大きいチェンジアップなど緩い球を交えた緩急が重要だと改めて思い知らされた。

 この日の戦いを見て来年春のWBCには、菅野 智之(巨人)、大谷 翔平(日本ハム)、和田 毅、武田 翔太千賀 滉大(ともにソフトバンク)、岸 孝之(西武→楽天)、石川 歩、涌井 秀章西野 勇士(ともにロッテ)を招聘してほしいと思った。メジャー組では田中将大(ヤンキース)、前田健太(ドジャース)、ダルビッシュ有(レンジャース)の3人。全員、150キロ台のストレートに緩い変化球を操る技巧も持ち合わせている。150キロ台後半を計測する能力のある藤浪、則本 昂大(楽天)、菊池 雄星(西武)も捨てがたい。

 メキシコ、オランダ代表を招いて行われた強化試合はいろいろなことを考えさせる有意義な他流試合だった。前回のWBCでは準決勝でプエルトリコに1対3で敗れ、3大会連続決勝進出の夢を絶たれた。来年3月に行われる大会はその雪辱戦になる。誰もが納得できる代表の人選はできないかもしれないが、今回の強化試合で得た教訓が反映されれば2大会ぶり3回目の優勝も夢ではない。

(文・小関 順二

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プロフィール

小関 順二
小関 順二
  • 出身地:神奈川県横須賀市生まれ。
  • ■ プロ野球のドラフト(新人補強)戦略の重要性に初めて着目し、野球メディアに「ドラフト」というカテゴリーを確立した。ストップウオッチを使った打者走者の各塁走塁、捕手の二塁スローイングなど各種タイムを紹介したのも初めてで、現在は当たり前のように各種メディアで「1.8秒台の強肩捕手」、「一塁到達3.9秒台の俊足」という表現が使われている。
  • ■ 主な著書に『プロ野球問題だらけの12球団』(年度版・草思社)、『プロ野球スカウティング・レポート』(年度版・廣済堂あかつき)、『ドラフト物語』(廣済堂あかつき)、『野球力』(講談社+α新書)、『プロ野球サムライたち』(文春新書)などがある。
  • ベースボールファン(有料コラム)では、「野球を歩く」を寄稿、野球ファン必見の野球歴史コラムを配信している。 
  • 小関順二公式ブログ

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