第153回 【第47回明治神宮大会】上武大vs名城大 「僅差で好投手を攻略した上武大。その強さは本物!」2016年11月13日

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明治大が4対1で関西大を下し、準決勝進出を果たす!

先発・栗林 良吏(名城大)

 1回の攻防が勝敗の分岐点になった。名城大の先発、栗林 良吏(2年)が上武大の1番島田 海吏(3年)に初球を投じたところで球審がマウンドに行き、栗林に何事か告げる。二段モーションの注意だと思うが、そこから栗林に変調が見られた。始動から投げたボールがキャッチャーミットに届くまでの投球タイムは、初球が2.00秒だったのが、球審から注意を与えられたのちは1.60秒、1.84秒と一定しない。二段モーション気味のフォームが元来の投げ方だったとしたら、急にそうじゃない投げ方をしなさいと言われても簡単にはできない。二段モーションの注意は珍しいことではなく、たまに見られる。ゲーム開始前に投球練習は行われているので、せめてそのときに注意を与えられないかといつも思う。

 この二段モーションの注意が栗林の動揺を誘ったのは確かで、上武大は島田がストレートの四球を選び、2番山本 兼三(4年)がバントで送って、3番鳥巣 誉議(3年)が121キロのスライダーをライト前に弾き返して先制の1点を挙げる。試合巧者の上武大なら、これ以降も栗林の動揺に付け入って加点していくのではないかと思うが、2回から栗林は立ち直る。どう持ち立ち直ったのかというと、走者がいようがいまいと、すべての打者に対して走者がいるときと同様、1.0~1.2秒台のクイックで通したのである。6回に4番長澤 壮徒(4年)、6番飯島 健二朗(2年)の長短打で1点を失った以外は、自己最速153キロのストレートを7キロ減速してコントロールに神経を配り、大きく斜めに変化するスライダーを中心に上武大の強力打線を8安打に抑えたのである。1回表、先頭打者にストレートの四球を与えた投手がそれ以降は無四死球に抑えたという点は特筆していい。

 上武大の先発、山下仁(4年)もよかった。ストレートはこの試合の最速が142キロ。この普通のストレートを速く見せるところに山下の技巧がある。115、6キロのチェンジアップと120キロ台中盤のスライダーで打者を左右、高低に揺さぶるのだが、斜めに大きく変化するスライダーは右打者のアウトローに計ったようにコントロールされ、縦に大きく落ちるチェンジアップが横の揺さぶりに慣れた打者の目線を高低に変え、さらにそのあとのストレートで緩急まで付け加えるという念の入れよう。中1日空いただけの強行日程でも6回を被安打4に抑え、失点は味方エラーによる1点だけ。与四球1は栗林同様、称賛されていい。

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プロフィール

小関 順二
小関 順二
  • 出身地:神奈川県横須賀市生まれ。
  • ■ プロ野球のドラフト(新人補強)戦略の重要性に初めて着目し、野球メディアに「ドラフト」というカテゴリーを確立した。ストップウオッチを使った打者走者の各塁走塁、捕手の二塁スローイングなど各種タイムを紹介したのも初めてで、現在は当たり前のように各種メディアで「1.8秒台の強肩捕手」、「一塁到達3.9秒台の俊足」という表現が使われている。
  • ■ 主な著書に『プロ野球問題だらけの12球団』(年度版・草思社)、『プロ野球スカウティング・レポート』(年度版・廣済堂あかつき)、『ドラフト物語』(廣済堂あかつき)、『野球力』(講談社+α新書)、『プロ野球サムライたち』(文春新書)などがある。
  • ベースボールファン(有料コラム)では、「野球を歩く」を寄稿、野球ファン必見の野球歴史コラムを配信している。 
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