第156回 【第47回明治神宮大会】明治大vs上武大 「柳・星の継投リレーで上武大打線を完封!」2016年11月15日

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柳・星の継投リレーで上武大打線を完封!

柳 裕也(明治大)

 過去10年、東京六大学リーグと東都大学リーグは全国大会(大学選手権、明治神宮大会)で激しいつば迫り合いを演じている。大学選手権は07~16年、明治神宮大会は06~15年までを見てみよう。東都は44勝19敗、勝率.815、六大学は45勝14敗、勝率.763という僅差である。さらに学校別でみると、勝ち星の1位は早稲田大の22勝4敗で、以下東洋大20勝2敗、東海大19勝10敗、上武大19勝12敗、亜細亜大17勝6敗と続いていく。

 明治大は大学選手権が4勝3敗、明治神宮大会が8勝3敗と絶対的な強さを発揮しておらず、対する上武大は躍進する関甲新大学リーグの盟主にして過去10年の全国大会で上位の成績を収めている。今年の大学選手権初戦敗退の明大がこの試合に敗れれば伝統リーグの看板が大きく揺らぎ、上武大はこの試合に勝てば過去10年の勝ち星トップに並ぶ。大きなニュースになっていないが、大学球界の勢力図を考える上で非常に大きな意味を持つ試合だった。

 上武大の前に立ちはだかったのは中日のドラフト1位、柳 裕也である。ストレートは最速142キロと速くはないが、縦変化のカーブ、スライダー、フォークボールのキレが素晴らしく、7回まで被安打5、与四球2、奪三振6で失点は許していない。思わず唸ったのは走者を許してからのピッチングで、セットしてから投げるまでの間合いが実に長い。私は足の速い選手が出れば盗塁に要するタイムを計測したいので目を凝らして一塁走者を見ているが、セットしたままなかなか投げない。これは走者にとってもなかなかきつい。

 8回からはヤクルト2位の星 知弥がマウンドに上がり、2イニングをパーフェクトに抑える。ストレートで押す柳とは真逆のピッチングスタイルで、この試合の最速は148キロ。それまでの高低の配球に慣れた打者は面食らったと思う。星は早いだけでなく、投球フォームがいい。早い体の開きや、右腕が背中のほうに入るなど過剰な動きがなく、外角に球が集まりすぎかな、と思う程度で非常にまとまっている。まとまっていて力感があり、ストレートにボリューム感がある。ヤクルトでは先発の1枠に入ってきそうだ。

 敗れた上武大は2人の前に手も足も出なかった。残念だったのは打者走者の全力疾走が見られなかったこと。名城大戦でも思ったが、デンと構えて野球をやりすぎた。打者走者の「一塁到達4.3秒未満、二塁到達8.3秒未満、三塁到達11秒未満」をクリアしたのは名城大戦が2人3回、この明大戦が3人3回。明治神宮大会出場決定戦の横浜市長杯争奪準決勝、共栄大戦では5人(6回)がタイムクリアしているのである。関甲新大学リーグらしい元気いっぱいのプレーが見たかった。

(取材・文=小関 順二


1 2 3 4 5 6 7 8 9
明治大1002000003
上武大0000100000
明治大:柳、星―牛島
上武大:寺沢、霍本、宮川哲、鈴木、石井、山下―吉田

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プロフィール

小関 順二
小関 順二
  • 出身地:神奈川県横須賀市生まれ。
  • ■ プロ野球のドラフト(新人補強)戦略の重要性に初めて着目し、野球メディアに「ドラフト」というカテゴリーを確立した。ストップウオッチを使った打者走者の各塁走塁、捕手の二塁スローイングなど各種タイムを紹介したのも初めてで、現在は当たり前のように各種メディアで「1.8秒台の強肩捕手」、「一塁到達3.9秒台の俊足」という表現が使われている。
  • ■ 主な著書に『プロ野球問題だらけの12球団』(年度版・草思社)、『プロ野球スカウティング・レポート』(年度版・廣済堂あかつき)、『ドラフト物語』(廣済堂あかつき)、『野球力』(講談社+α新書)、『プロ野球サムライたち』(文春新書)などがある。
  • ベースボールファン(有料コラム)では、「野球を歩く」を寄稿、野球ファン必見の野球歴史コラムを配信している。 
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