第157回 【第47回明治神宮大会】桜美林大vs日本大 「佐々木抜きでも日大を破った桜美林の打力の高さとリリーフ陣の充実さ」2016年11月15日

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地方リーグの充実ぶりを物語る桜美林の戦いぶり

追加点となる本塁打を放った小林颯(日本大)

 エース・佐々木 千隼(ロッテ1位)を温存した桜美林大が日本大を突き放した。圧巻だったのは桜美林大の2回の攻撃。先頭打者の大平達樹(3年・捕手)が2ストライクからの3球目を捉えると打球は高い軌道を描いてレフトスタンドの最前列に飛び込んだ。1死後、7番小林颯(3年・中堅手)が高め139キロストレートを投手寄りのポイントで捉えると、今度は打った瞬間にホームランとわかる完璧な打球でライト中段に飛び込んだ。

 この桜美林大打線にくらべて日大打線はなかなか火がつかない。1回は1番上川畑 大悟(2年・二塁手)が右前打で出塁するが後が続かず、2、3、4回は三者凡退。春のリーグ戦までは大体こんな感じだった。それが秋は1試合平均5.4点という得点力で12年ぶりに東都の頂点に立ち、今大会の準々決勝、東海大北海道キャンパス戦でも序盤から打線がつながり、DeNA2位の水野滉也(4年)を攻略して7回コールド、7対0で完勝した。

 この日大打線に対して、桜美林大ベンチは早い継投策で目先を変えた。先発の安田颯(2年)はシンカーやスライダーの軌道、さらにスリークォーターの腕の振りなど佐々木に共通するよさがあり、6回途中からリリーフした増田悠太朗(4年)は最速141キロのストレート、3番手の邑楽 雅貴(4年)はさらに速い最速147キロのストレートで打者を圧倒する本格派、4番手の宮崎一誠(3年)は腕を振って投じる縦割れのスライダーに特徴がある技巧派タイプと、継投に緩急のアクセントをつけた。

 日大は中日2位の3番京田 陽太が満塁で打席が回ってきた6、8回に凡退したのが痛かった。第1、4打席が初球打ち、第2、3打席が1ストライクからの2球目という積極打法だが、数字ほどには思い切りのいいスイングではなかった。日大打線全体が1回は早打ち、2回以降は待球策に変わったのは安田のボール球になるシンカー対策だが、逆方向をもっと意識してもよかったのではないか。1~3回までは左打者の全打球がライト方向で、逆方向を意識しだしたのは4回からだった。

 低調だった打線が塁を賑わせるようになるのは中盤以降だ。秋のシーズンも後半になってからの逆襲が目立った。私が観戦しただけでも中央大1回戦は9回表に3点取って勝ち越し、亜細亜大2回戦は延長14回表に2点取って勝ち越し、東洋大1回戦は9回裏に2点取ってサヨナラ勝ちという展開だった。

 そういう試合を見てきたので8回表に1対7まで点差を広げられても、まだどうなるかわからないと思った。実際、8回裏には3点返し、9回には先頭打者がヒットで出塁し、2番長沢 吉貴(2年・中堅手)に1死一、二塁で打順が回ってきたときは、次が京田なのでどなるかわからないと思った。実際、日大はそういう試合をリーグ戦で続けてきた。しかし、長沢が併殺打に倒れてゲームセット。

 冷静に振り返れば、佐々木のいない桜美林大を日大は攻略できず、桜美林大は佐々木を温存して決勝に臨むことができた。それは地方リーグの充実ぶりを物語っていないだろうか。

(取材・文=小関 順二


1 2 3 4 5 6 7 8 9
桜美林大0200200307
日本大0000010304
桜美林大:安田、増田、邑楽、宮崎―大平
日本大:東、木村、山本、田村、弓削、上原―八田

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プロフィール

小関 順二
小関 順二
  • 出身地:神奈川県横須賀市生まれ。
  • ■ プロ野球のドラフト(新人補強)戦略の重要性に初めて着目し、野球メディアに「ドラフト」というカテゴリーを確立した。ストップウオッチを使った打者走者の各塁走塁、捕手の二塁スローイングなど各種タイムを紹介したのも初めてで、現在は当たり前のように各種メディアで「1.8秒台の強肩捕手」、「一塁到達3.9秒台の俊足」という表現が使われている。
  • ■ 主な著書に『プロ野球問題だらけの12球団』(年度版・草思社)、『プロ野球スカウティング・レポート』(年度版・廣済堂あかつき)、『ドラフト物語』(廣済堂あかつき)、『野球力』(講談社+α新書)、『プロ野球サムライたち』(文春新書)などがある。
  • ベースボールファン(有料コラム)では、「野球を歩く」を寄稿、野球ファン必見の野球歴史コラムを配信している。 
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