第1回 カリブ海に浮かぶ島・プエルトリコの驚きの野球事情2015年06月16日

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【目次】
[1]プエルトリコと野球の関わり
[2]プエルトリコの驚きの野球事情
[3]カリブ野球の洗礼

プエルトリコの驚きの野球事情

プエルトリコでの大会風景

 しかしながら、野球が大好きなプエルトリコ人らしい姿もここで垣間見える。以上のように野球選手として次のステップを踏むのが難しい状況でも、球場に入れば、選手は普段サラリーマンをしていることを感じさせない本気度でアグレッシブに野球に向き合い、球場はお祭り状態、大人が本気で争う運動会のようなものだ。伝統の楽器があちこちで鳴ったり、野球に関係なく踊り続ける老人がいたりと球場にいるだけで多種多様な即興のネタで盛り上がっている。

 特に注目のゲームとなると、4,000人を超える人々が球場に駆けつける。また、シーズン中は選手間のトレードが激化することもあり、どんな形で自分の生まれた街、または育った街に凱旋するかも注目のしどころである。もちろん、激化するトレードの中には、どろどろした人間関係があることもあるが、それをどんな風に受け取り、行動に移すかという選手のモラルのような部分もファンからの評価につながる。毎週末、各都市で異常に熱い戦いを続けるダブルエーの試合では、プエルトリコ人が日頃の疲れを癒す、心の拠り所にも感じた。

 余談ではあるが、2013年に私が所属させてもらっていたチームには、医者で4番という選手もいた。日本人よりも、文武両道を感じさせるアスリートがいることは、アメリカらしいところでもある。ちなみに、外国人選手については、一年以上プエルトリコに住まないと公式戦に出る資格は得られない。

アマチュアで使用する球場によっては、トイレの壁がない場合もある

 そして、大小様々な球場があるプエルトリコでは、上記のような立派な球場もあればクラスエーのようなアマチュア球場では、トイレの壁がないトイレもあったりする。

 そもそも驚きなのは、プエルトリコには78の街があって、そのうちの48の街がプロ野球チームを持っているということだ。この国のスポーツ文化が、どれだけ野球で成り立っているかわかるだろう。プエルトリコは、中南米の国の中でも生活水準は高く、野球においても、MLB傘下のアカデミーがあって、ユース世代からMLB入りを目標に育成を行う近隣ドミニカ野球とも違う環境にある。しかしながら、国民性、野球のスタイルはカリブ地域の島国に属するまさにカリブ野球である。

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