第5回 2015年MLB10大ストーリー【前編】「全米を沸かせたスタープレイヤーたち」2015年12月28日

【目次】
[1]“投手の時代”は継続
[2]A-ロッドが予想外の復調 / トレードデッドラインに波乱
[3]神童の開花 / 大物新人がデヴュー
世界中のベースボールファンを歓喜、エキサイトさせ、時に落胆もさせた2015年がまもなく幕を閉じようとしている。今季のMLBで輝いたのはどのチーム、どの選手だったのか。今回は2015年の10大ストーリーを取り上げ、波乱の1年を振り返っていきたい。
“投手の時代”は継続

岩隈 久志(シアトル・マリナーズ)
近年のMLBは“投手の時代”と呼ばれて久しい。今季に全部で7度のノーヒッターが達成されたことを考えれば、その潮流は変わっていないのだろう。
6月9日にはクリス・へストン(ジャイアンツ)、同月20日にはマックス・シャーザー(ナショナルズ)、7月25日にはコール・ハメルズ(当時フィリーズ、直後にレンジャーズ移籍)8月20日にはマイク・ファイヤーズ(アストロズ)、同月30日にはジェイク・アリエッタ(カブス)がそれぞれ大記録を達成。8月12日には岩隈 久志(マリナーズ・2014年インタビュー)がオリオールズ戦で、野茂 英雄以来、日本人投手としては2人目のノーヒッターを成し遂げて溜飲を下げている。
極め付けは10月3日。シャーザーがメッツ戦で9連続を含む17奪三振を奪う完璧な内容で、今季2度目のノーヒッターを達成してシーズンを締めくくった。記録を達成したのはこの6人だけだが、今季を通じてほとんど毎週のようにノーヒッターに迫る投手が現れたのが印象深い。
ナ・リーグのサイ・ヤング賞争いが、史上に残るハイレベルなものになったことも記しておきたい。アリエッタ(22勝6敗、防御率1.77)、ザック・グレインキー(19勝3敗、防御率1.66)、クレイトン・カーショウ(16勝7敗、防御率2.13、301奪三振)がそれぞれ驚異的な成績をマーク。結局はアリエッタが選ばれたが、3人の投球内容はどれも受賞に値するものだった。
このような今季の好投手たちの活躍の後で、“マウンドを低くするべき”というアイデアまで半ば真剣に議論され始めている。ピッチャー有利の時代はまだしばらく続きそうである。
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