第6回 2015年MLB10大ストーリー【後編】「全米で話題になったチームたち」2015年12月29日

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【目次】
[1]カブス大躍進 / ミラクル・メッツがワールドシリーズへ
[2]ロイヤルズが2年越しの世界一に到達 / ピート・ローズ復権ならず / オフに100億ドル契約続出

ロイヤルズが2年越しの世界一に到達

エリック・ホズマー(カンザスシティ・ロイヤルズ)

 2014年のワールドシリーズでは、地元で迎えた第7戦でジャイアンツに1点差で惜敗。惜しい形で世界一を逃した後では、ロイヤルズが再びプレーオフに進んでくるのは難しいと感じたファン、関係者は多かった。しかし、この悔しさを糧に、ロイヤルズは2015年により逞しくなって戻って来た。

 シーズン中は群を抜いた強さであっさりと地区優勝を手にすると、プレーオフではドラマチックな勝利の連続。特にワールドシリーズでは4勝中3勝を8イニング以降の逆転で挙げ、経験不足のメッツを粉砕した。

「大舞台でも自分たちの能力に自信を持ってプレーしている。これまで多くを乗り越えてきたがゆえに、冷静で、決してパニックを起こさない。みんなが自分たちがやり遂げられると信じているんだ」

 今ポストシーズン中の11勝のうち8勝が逆転勝利、そのうち7勝が2点差以上、ワールドシリーズでの7回以降の51得点はメジャー新記録・・・・・・驚異的な粘り強さを発揮した理由を、ネッド・ヨスト監督はそう説明した。
マット・ケイン、アルシデス・エスコバー、サルバドール・ペレス、エリック・ホズマー、マイク・ムスターカス、ウェイド・デイビスといった1年前に手痛い敗北を喫したロイヤルズ選手たちの勝負強さは際立っていた。

 痛恨の挫折から立ち直れないチームがあれば、その経験を糧により底力を増すチームもある。鮮やかなロイヤルズの戴冠には、“2年越しの勝利”という形容が何よりもふさわしかったに違いない。

ピート・ローズ復権ならず

 12月14日、復権を申請していたピート・ローズからの永久追放処分解除要請をMLBが却下したことが明らかになった。
“ビッグレッド・マシン”と呼ばれた1970年代のレッズ打線の中核を担ったローズは、通算4256安打のメジャー記録保持者。200安打以上のシーズンは10度を数える。この記録に2010年にイチローが並び、日米通算安打数でもローズに迫っていることなどから、最近は日本でもその名は有名になった。

 しかし、アメリカでは最近はスキャンダラスな人物としてその名前が知れ渡った感がある。自身がレッズの監督を務めていた間にも野球賭博にかかわっていたことが発覚し、1989年に永久追放処分。今夏には選手時代にも自らの出場試合に賭けていたことを裏付ける証拠が出たため、再び全米的なニュースになった。そして、復権を訴え続ける今でも、合法の野球賭博を続けているという。

 25年以上も処分を受けてきたこと、所属チームの勝利にしか賭けていなかったらしいことなどから、ローズに同情的な声も少なくなかった。しかし、本人に依然として反省の色が見えない状況では、MLBの判断もやむを得ない。
ローズももう74歳。今回の裁定は最終的なもので、永久追放処分が覆される日は訪れないと考える関係者は少なくない。

オフに100億ドル契約続出

 今オフのFA戦線の目玉と目されたデビッド・プライス、ザック・グレインキーの2人が、予想通り、いや予想以上の高契約を手にした。
プライスは12月1日にレッドソックスから7年2億1700万ドルの新契約を受け取ることで合意。グレインキーは12月4日にダイヤモンドバックスと6年2億650万ドルの契約をゲットし、争奪戦に終止符を打った。
プライスの手にする総額は史上最高。グレインキーのサラリーは1年の換算では3440万ドルになり、プライスのそれをも上回る。

 その他、ジョニー・クエト、ジェフ・サマージャがジャイアンツとそれぞれ6年1億3000万ドル、5年9000万ドルで契約を完了。カージナルスのジェイソン・ヘイワードもカブスと8年1億8400万ドルの大型契約を結ぶなど、今オフは1億ドル前後以上の契約が派手に飛び交っている印象がある。

 これほどの札束攻勢の背後には、テレビ放映権料の高騰化のおかげもあって、MLBの収益が順調に拡大しているという事情がある。投手の補強戦線は一段落した感もあるが、12月21日時点で野手はまだヨエネス・セスペデス、ジャスティン・アップトンといったFAの大物が残っている。1億ドル以上の新契約を結ぶ選手がさらに増える可能性もありそうだ。

(文=杉浦 大介

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