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第2回 【小関順二のドラフト指名予想】オリックス・バファローズ編 「最下位脱出は全体の底上げが課題」2016年10月09日
【目次】
[1] 個々の能力は高いが、全体の底上げが最大の課題
[2] 外れ1位は野手を指名するべき!その理由とは?
外れ1位は野手を指名するべき!その理由とは?

鈴木 将平 (静岡)
10年以降の抽選負けの数々を紹介したが、阪急時代からくじ運はなかった。66年の江夏 豊(大阪学院大高)から始まって、木田 勇(日本鋼管)、岡田 彰布(早稲田大)、野茂 英雄(新日鉄堺)、福留 孝介(PL学園)、田中 将大(駒大苫小牧)、中田 翔(大阪桐蔭)たちを外しまくっている。彼らが入団していたら想像を絶する強豪チームが出来上がったはずだが、彼らが入らなくてもある時期まで阪急・オリックスは強かった。
外れ1位ないしは外れ外れ1位などで獲得した選手が予想外に頑張ったのだ。そして彼らの活躍は「外れ1位でどんな選手を獲得したらいいのか」という問いに対する答えが示されていると思う。その答えとは「外れ1位は野手を指名しなさい」。
駿太、安達以外でも、坂口 智隆(オリックス→ヤクルト)、T-岡田(オリックス)が外れ1位である。他球団でも荒木 雅博(中日)、坂本 勇人(巨人)、山田 哲人(ヤクルト)が外れ1位出身で球界の顔になっている。
「投手は過剰に上位で指名され、野手は放って置かれる」――これこそ、外れ1位の野手が活躍する背景にある。投手も野手もプロで活躍できる人数は限られているのに、その数を超えて指名されるから外れ1位や下位指名の投手は苦労し、逆に外れ1位や下位指名の野手でも活躍できる。今年も抽選で負けたら野手に向かってほしい。
■どんな選手を1位で指名するべきなのか
度重なる抽選負けに懲りたのか、13年以降は競合なしの一本釣りを展開してきた。吉田 正尚にブレークする気配があるのは楽しみだが、今年は投手陣に好素材が多く、抽選で敗れても魅力のある選手が残っている。ならば田中 正義(創価大)、佐々木 千隼(桜美林大)、山岡 泰輔(東京ガス)など複数球団の入札が予想される大物に向かっていくべき。田中を獲得できれば金子 千尋、西 勇輝との3本柱が確立され、2年続けて5位、6位の成績に白けきっているファンの心を呼び戻す可能性がある。それくらい3人が並び立つ姿は魅力に富んでいる。
1、2位は即戦力投手に向かっていく方がチーム事情に合っているが、3位以下は13、14年に敢行した高校生主体の指名を復活してほしい。この2年間に獲得した若月 健矢(捕手)、園部 聡(一塁手)、奥浪 鏡(内野手、指名代打)、宗 佑磨(遊撃手)は16年後半、出場機会を増やし、若月はレギュラー争いのトップに躍り出ている。
今年の候補の中では強打が評判の細川 成也(明秀日立・外野手)、鈴木 将平(静岡・外野手)、石垣 雅海(酒田南・遊撃手)、松尾 大河(秀岳館・遊撃手)あたりが3位でも残っている可能性があり、ポジションも魅力がある。
(文・小関 順二)

- 小関 順二
- 出身地:神奈川県横須賀市生まれ。
- ■ プロ野球のドラフト(新人補強)戦略の重要性に初めて着目し、野球メディアに「ドラフト」というカテゴリーを確立した。ストップウオッチを使った打者走者の各塁走塁、捕手の二塁スローイングなど各種タイムを紹介したのも初めてで、現在は当たり前のように各種メディアで「1.8秒台の強肩捕手」、「一塁到達3.9秒台の俊足」という表現が使われている。
- ■ 主な著書に『プロ野球問題だらけの12球団』(年度版・草思社)、『プロ野球スカウティング・レポート』(年度版・廣済堂あかつき)、『ドラフト物語』(廣済堂あかつき)、『野球力』(講談社+α新書)、『プロ野球サムライたち』(文春新書)などがある。
- ベースボールファン(有料コラム)では、「野球を歩く」を寄稿、野球ファン必見の野球歴史コラムを配信している。
- ■ 小関順二公式ブログ

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