第6回 高校生の即戦力化は進んでいるか ―高卒ルーキーが3年以内に活躍する可能性10.87%― 2013年10月23日
10月3日(木)、第68回国民体育大会(国体)で行われた高校野球硬式の決勝戦は、9回を終了しても勝負がつかず、大会規定により大阪桐蔭と修徳(東京)の両校優勝という形で幕を閉じた。この大会をもって、現・高校3年生が出場できるすべての公式戦が終了、10月24日に開かれるプロ野球ドラフト会議に向け、引退する選手たちの進路に注目が集まっている。
近年は、高校生ながら150キロ超のストレートを投げ込む投手や、高校通算数十本の本塁打を放つ選手が多い。また、プロ入り後すぐに活躍する選手も多いことから、「高校生の即戦力化が進んでいる」といった声がよく聞かれる。
では実際には、高卒でプロ入りした選手はどのぐらいの成績を残しているのだろうか。ドラフトを前に検証してみたい。
【目次】
[1]活躍する高卒ルーキーたち
[2]高卒ルーキー 過去20年のデータ
[3]飛躍をとげた高卒ルーキーたち
[4]プロでの活躍が期待されるドラフト候補たち
活躍する高卒ルーキーたち

藤浪晋太郎選手(大阪桐蔭時代)
近年、高卒でのプロ入り後、華々しい活躍を見せている選手といえば、球団創設9年目にして初めてのリーグ優勝を成し遂げた東北楽天のエース田中 将大や、昨年テキサス・レンジャーズに移籍したダルビッシュ 有だろう。
2007年にドラフト1位で東北楽天に入団した田中は、初年度から11勝をマークするなど大物ぶりを発揮。プロ5年目の2011年には19勝を挙げ、パ・リーグの最多勝利投手に輝いた。さらに今年は開幕24連勝、昨シーズンからの連勝を加えれば、トータルで28連勝という前人未到の世界新記録を打ち立てた。
一方、ダルビッシュは2005年にドラフト1位で北海道日本ハムに入団。1年目こそケガの影響もあり5勝と振るわなかったが、高卒2年目の2006年からはコンスタントに10勝以上をマークし、レンジャーズ移籍直前の2011年には18勝を挙げて日本では7年間で93勝をあげた。レンジャーズ移籍後もその実力を充分に発揮し、昨年は16勝、今年は13勝を記録している。
また今年プロ入りした選手では、北海道日本ハムの大谷 翔平や阪神の藤浪 晋太郎という、二人の大型高卒ルーキーが活躍、野球界を騒がせている。
大谷は、花巻東高校在籍時からメジャーが注目するほどの力を持ち、本人もメジャー挑戦の意向を表明していたが、北海道日本ハムの数度にわたる交渉を受けてプロ入り。3月29日の開幕戦で初出場を果たして以来、投手と打者の“二刀流”選手として活躍している。
一方の藤浪は、高校2年の春から名門・大阪桐蔭のエースとして君臨し、甲子園春夏連覇と国体の優勝で3冠の偉業を成し遂げた。さらに、秋に行われた18U世界野球選手権での活躍により、国際野球連盟から18歳以下男子の年間最優秀選手に選ばれた。プロ入りした今年も、ルーキーながら10勝を挙げる活躍を見せている。
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