第6回 高校生の即戦力化は進んでいるか ―高卒ルーキーが3年以内に活躍する可能性10.87%― 2013年10月23日

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【目次】
[1]活躍する高卒ルーキーたち
[2]高卒ルーキー 過去20年のデータ
[3]飛躍をとげた高卒ルーキーたち
[4]プロでの活躍が期待されるドラフト候補たち

飛躍をとげた高卒ルーキーたち

中田翔選手(北海道日本ハムファイターズ)

 では、高卒でプロ入りした選手は戦力にならないのかといえば、もちろんそのようなことはない。たとえ最初の数年は苦労したとしても、その後、大きく飛躍した選手は数多く存在する。

 10月2日にケガによる離脱から1軍に復帰した、北海道日本ハムの中田 翔もその一人である。
 中田は、大阪桐蔭時代に通算87本塁打を記録。ドラフトでは、北海道日本ハムのほかに阪神、オリックス、福岡ソフトバンクの4球団から1位指名されるなど、まさに鳴り物入りでプロ入りした。
 ところが、高校時代に務めていた投手から野手に転向したことで苦しんだこともあり、1年目の2008年は1軍の試合に出場することさえなくシーズンを終了した。その後、2010年までは1軍と2軍を往復。出場試合数こそ65試合となり戦力となり得たが、本塁打はわずかに9本と、入団前に期待された活躍からはほど遠かった。

 その才能が開花したのは、翌2011年だった。開幕直後は19打席無安打に苦しんだものの、シーズン途中からは4番に座り143試合に出場、18本塁打、91打点を挙げた。翌2012年には、144試合に出場し、24本塁打77打点。今年は、8月21日の楽天戦で受けた死球で左手を負傷し戦線を離脱したものの、それまでに自己最多となる28本塁打、73打点、打率3割5厘をマークするなど、大きな飛躍を見せた。

 また投手では、埼玉西武の菊池 雄星が飛躍しつつある。
 菊池は、花巻東在籍時の3年夏、甲子園の3回戦で154キロをマーク。準々決勝では4回までパーフェクトピッチングを見せた。その後、肋骨の疲労骨折で降板したが、その実力は日本だけでなくメジャーからも注目された。
 だが、6球団による争奪戦の末に埼玉西武に入団するも、今度は左肩を負傷。1年目の2010年は1軍で登板することなく、リハビリに時間を費やした。翌2011年と2012年は、なんとか4勝ずつを挙げ戦力としての数字を残したが、1軍に定着することはできなかった。
 だが今年に入り、ついに頭角を現しはじめた。開幕を1軍でスタートすると、これまでの鬱憤をはらすかのように活躍し、プロ入り後最速の153キロ、初完封勝利、ノーヒットノーランなど好投を続け9勝をマーク。現在は、左肩炎症のため2軍で調整中だが、プロ4年目にして、大きくステップアップしたことは間違いないだろう。

 ほかにも、数年を経てから飛躍をとげた選手は多くいる。入団後6年目で1軍に定着し、今年メジャーリーグのシカゴ・カブスに移籍した藤川球児(現在は故障によりリハビリ中)や、プロ入り後7年目にしてようやく1軍レギュラーの座をつかんだ楽天の銀次など、枚挙にいとまがない。

 当然のことではあるが、高卒ルーキーがプロの世界で活躍するためには、本人の努力と球団の適切な育成が必要であるということのだろう。

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