第11回 2013四国アイランドリーグplus総括 「成功者」に到達するための過程(前編)2013年12月26日

【目次】
[1]方向性を決めた「2月27日・阪神タイガース2軍戦」
[2]復帰を期す「元NPB組投手陣」バックに走る愛媛、追う香川・徳島
[3]「6月の大攻勢」で香川が前期優勝を果たす/チームも、個人も「混沌」としたまま勝負の後期へ
1つは小さな成功例を忘れず、継続していくタイプ。もう1つは失敗を分析し、成功への道筋を導き出すタイプ。細分化すればきりがないが、成功者に到達するための過程としては大きく2つのタイプに分類されると考える。
なぜ、冒頭にそんなことを記すのか?2013年の「四国アイランドリーグplus」では様々な場面でこの「成功者に到達するための過程」が表出したからだ。
もちろん今季、晴れのNPBドラフト指名を受けた又吉 克樹投手(中日ドラゴンズ2位・香川オリーブガイナーズ ※独占インタビュー【前編】、【後編】)、東 弘明遊撃手(オリックス・バファローズ育成1位・徳島インディゴソックス)。そして1シーズンでNPB復帰した金森 敬之投手(千葉ロッテマリーンズ育成・愛媛マンダリンパイレーツ)も例外ではない。
そんな点にも触れつつ、今回は2013年の同リーグを時系列的に、2回に分けて振り返っていこうと思う。
方向性を決めた「2月27日・阪神タイガース2軍戦」

2013.3.3Hondaとのオープン戦で乱調に終わった又吉克樹(香川オリーブガイナーズ・中日2位指名)
2月27日15時10分。安芸タイガースタウンに咆哮が響く。マウンド上でグラブタッチを繰り返す色とりどりのユニフォーム。この日、四国アイランドリーグplus選抜は阪神タイガース2軍との交流戦で5対3と快勝を収めた。
その中で最も強烈な印象を残したのが4回から途中出場した東である。以前より定評のある守備機会こそ1度だったが、不得手とされていたバッティングでは5回の中前先制打に続き、9回にも左中間を破る二塁打。
「5回は清原 大貴さんがインコースを多く使っていたので狙っていました。昨年より下半身強化に努めて、ボールが待てるようになっています」と語る彼の顔にはNPBへ最初のアピール機会で結果を出せた安堵感が満ちていた。
一方、入団時から最もNPBに近い男として認識されていた又吉 克樹は、開幕前は精彩を欠いていた。この阪神2軍戦では2回でなんと42球を費やし被安打2・与四死球2で1失点。3月3日・坊っちゃんスタジアムで開催された社会人・Hondaとのオープン戦でも初回に4点を失うなど散々な出来。ただ、ここで西田真二監督からもらった諌言が彼を変えた。
「なんで、ストレートを投げないんだ」
1ヶ月後、雨天で一日開幕が伸びた4月7日のJAバンク徳島スタジアム。先発の栄誉を授かった又吉は徳島相手に6回無失点の好投。「Honda戦でのあの言葉で、自分のスタイルが決まりました」ドラフト後に自身も語ったように、又吉は失敗を早くも「成功の基」にしようとしていた。
「成功」と「失敗」。2月27日に全く出した結果は異なっていたが、2人は確かに成功者への道を歩み始めたのである。
【次のページ】 復帰を期す「元NPB組投手陣」バックに走る愛媛、追う香川・徳島