第13回 2014四国アイランドリーグplus総括 「日本野球の『名脇役』から、日本市場の『勝ち組』となるために」(前編)2014年12月28日
2014年12月13日に高松国際ホテルで開催された「SHIKOKU ISLAND LEAGUE plus 10th anniversary ceremony」。
眩いばかりに輝く光の中で、花束を手にしたのは香川オリーブガイナーズを巣立ち、今季ルーキーイヤー9勝の中日ドラゴンズ・又吉 克樹(2013年インタビュー【前編】【後編】)投手。「NPBの即戦力を輩出する」。10年前に四国アイランドリーグがスタートした時、夢見ていた風景をはじめて現実とした男である。
その又吉から、関係者やNPBや各界で活躍するOB、また支援企業・個人のみなさんから万雷の拍手を浴びながら、花束を受け取る四国アイランドリーグplus・鍵山 誠CEO。リーグ創設時から現在まで時に優しく、時に厳しく、よちよち歩きだったリーグを先頭になってけん引してきた「四国アイランドリーグplusのお父さん」の瞳はたちまち潤んでいった……。
そんな感動的なシーンで幕を閉じた「四国アイランドリーグplus」の2014年。ここでは10年目のメモリアルイヤーを振り返りつつ、「To The NEXT STAGE」へ挑むリーグの今後にも触れていきたい。
【目次】
[1]盟主・香川オリーブガイナーズ 失速劇の背景
[2]独自の戦術で逆転優勝を決めた徳島インディゴソックス
[3]リーグ映像配信・米サマーリーグとの業務提携etc…世界への発信と還元
盟主・香川オリーブガイナーズ 失速劇の背景

新潟アルビレックスBCから移籍した
寺田哲也投手(香川オリーブガイナーズ)
前期リーグ最終日を迎えた6月28日(土)マドンナスタジアム。そこでは近年における四国アイランドリーグplusの日常風景とは全く異なる化学変化が起こった。
すでに前期最下位が決まっている愛媛マンダリンパイレーツ(以下、愛媛)の前に圧倒される香川オリーブガイナーズ(以下、香川)。
愛媛の先発は2002年にNPB・日本ハムでパ・リーグ新人王も獲得している経験豊富な左腕・正田 樹。とはいえ、香川は工夫なく6回まで無安打。凡打を繰り返す姿は、引き分けでも徳島インディゴソックス(以下、徳島)を勝率で上回り、前期優勝決定。過去に前期優勝5回・後期優勝4回・総合優勝5回。独立日本一3度と、目の前の獲物は悉くものにしていた「盟主」とは思えないもの。
4月の月間MVPを獲得しながら直後の右手骨折で長期離脱。ようやく復帰したルーカス・アーバインが初回で2点を失い、香川は厳しい展開に陥っていく。
ただ、この兆候は以前からあった。投手陣はルーカス離脱中、後にそろってNPB指名を受けることになる、昨年までBCリーグ新潟アルビレックスBCの大黒柱だった寺田 哲也と、香川移籍2年目でついに150キロ越えを果たした篠原 慎平の踏ん張りにより、徳島とのマッチレースに持ち込むことに成功。
しかし打線は、MLBテキサス・レンジャーズAAA経験を持つ尾中 博俊が攻守に精彩を欠き、6月12日には早くも契約解除。都市対抗の常連・伯和ビクトリーズで昨年まで主軸を占めた中本 翔太、原口 翔は長打力に一日の長を見せるも、打率面で伸び悩んだ。
さらに6月13日にはホーム・レクザムスタジアムで高知ファイティングドックス(以下、高知)・弘田 澄男監督いわく「40年近くプロの世界にいて経験がない」9回表7点差からの逆転負けを喫するなど、安定感を欠く闘いが続いていたからだ。
それでも6月15日・アグリあなんスタジアムにおける徳島との前期最後の直接対決には、13日に先発7回を投げた寺田をロングリリーフに投入し、6対5で勝利。「闘争本能を出すのが大事」といつも以上にエキサイトしていた西田 真二監督だったが、入れすぎたムチは最後に折れてしまった。
ドラフト指名選手インタビュー(寺田 哲也選手・篠原 慎平選手)はこちらから!
■寺田 哲也選手インタビュー(2014年12月公開)
vol.1 野球を始めたルーツと高校時代について
vol.2 苦難多きの大学時代と、自信を掴んだアルビレックス新潟時代
vol.3 波乱万丈の野球人生で、こだわり続けた「ストレート」
vol.4 ラストチャンスをかけた香川オリーブガイナーズ時代
vol.5 来季の決意 寺田投手が語る独立リーグとは?
■篠原 慎平選手インタビュー(2014年10月公開)
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