第5回 【坂口裕昭の北米探訪記】 ニュージャージー・ジャッカルズ戦 「慣れない環境の克服 ~その先にあるもの~」(第2回)2015年06月14日

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3488人の観客から送られたスタンディングオベーション

スタンドの大勢の観客

 他方で、この日、先発のマウンドに立った福永春吾は、3イニングを投げ、被安打8、与四球2の5失点。制球力を欠く不安定な立ち上がりから、ジャッカルズ打線の勢いに飲まれ、打ち込まれた。初めてのマウンドで、本来の実力を全く発揮することができなかった。

 その原因はどこにあるのか。もちろん、ジャッカルズ打線に力負けした、という見方もあろう。しかし、入団時から福永を最も近くで見てきた自負のある私は、そうは思っていない。

 野球の実力が通用しなかったのではない。最大の原因は、慣れない環境に順応できなかったこと。これに尽きる。
これは、福永を擁護するために言っているのではない。慣れないマウンド、慣れない調整に順応できなかったこと、それ自体が敗北であることに変わりはなく、この点こそが、福永が階段を登るために克服しなければならない課題なのである。

 福永は、言わずと知れた徳島インディゴソックスの宝であり、四国アイランドリーグplusを代表する投手である。デビュー戦となった福岡ソフトバンクホークス3軍との試合で16三振を奪い、9回を無失点に抑えたことを持ち出すまでもなく、その実力は誰もが認めるところである。

 同時に、福永は、とても繊細な投手であり、マウンドの傾斜、足場、気候、登板日までの調整に対し、非常に気を遣う選手である。裏を返せば、これらの一つ一つの変化に対応するため、小さな壁をいくつも克服し、ここまで這い上がってきた選手。要は、繊細さだけではなく、課題を克服する強さを持った選手でもある。

 この意味においても、福永の真価が問われるのは次戦である。これまでと同様、慣れない環境を克服し、実力を発揮してくれるに違いない。次の福永の登板が今から楽しみでならない。

 連敗スタートとなったIL選抜ではあったが、この日も、試合終了後、スタンドに集まった3488人の観客からIL選抜の選手たちに対し、スタンディングオベーションが送られた。

 また、連日、試合終了後の選手たちによるお見送りに際しては、サインや写真撮影を求める列が途絶えず、励ましの声を頂いている。選手たちによるお見送りは、四国では当たり前となっている光景だが、アメリカでは当たり前ではなかった。日本式のホスピタリティーとして、アメリカでも歓迎を受けている。

 最初は言葉の壁もあり、対応に苦慮する選手も見られたが、徐々に表情がほぐれ、全ての選手が笑顔で交流を持てるようになってきた。
IL選抜の選手たちにとっては、慣れない環境での厳しい戦いが続くが、現地の方々のこうした温かい対応は、必ずや、彼らの背中を押してくれるに違いない。

 慣れない環境を克服した、その先にあるもの。IL選抜の選手たちは、私たちに、それを見せてくれるに違いない。

(取材/文=坂口 裕昭)

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