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第11回 【坂口裕昭の北米探訪記】 「自分の持ち味を知るということ」 (第5回)2015年06月17日

北米遠征・公式戦5試合を振り返る

試合前の様子
カナディアン・アメリカン・リーグ(以下「Can-Amリーグ」)では、前日の試合が雨で中止となった場合、翌日に7イニング制のダブルヘッダーを行うルールになっている。このあたりの柔軟な対応はアメリカならでは、という感じである。
北米遠征・公式戦の第4戦が雨で流れた四国アイランドリーグplus All Stars(以下「IL選抜」)も、このルールに従い、翌日、サセックスカウンティー・マイナーズと7イニング制で2試合を行った。結果は1勝1敗。通算成績を2勝3敗とした。
さて、北米遠征・公式戦が5試合を経過したこの時点で、一旦、ここまでのIL選抜の戦いぶりを総括してみよう。
まずは、投手陣。ここまで10人の投手が登板しており、チーム防御率は3.55。数字だけを見れば物足りないように思われるかも知れないが、総じて言えば、よくやっているという印象である。被本塁打も1本に止まっており、決して力負けをしているという印象は受けない。
むしろ、主戦捕手である宏誓(河原宏誓:愛媛マンダリンパイレーツ)の好リードもあり、落ちる変化球を決め球に使いながら、丁寧な攻めができている。相手チームに対しても、日本人投手のレベルの高さを印象付けているように思われる。
第4戦(試合レポート)で先発した松本直晃(香川オリーブガイナーズ)は、四国アイランドリーグplusのリーグ戦ではリリーフを任されることが多く、ストレートを中心にゴリゴリ攻め込む印象の強い投手である。しかし、相手打者のパワーを考え、低めのコントロールを意識することで、5イニングを被安打2、エラー絡みの1失点に抑える好投を見せた。
第5戦(試合レポート)で先発した松本英明(高知ファイティングドッグス)も、決め球のチェンジアップを活かすためにストレートをうまく使い、3イニング目まではパーフェクトなピッチングを見せるなど、今後の試合でも十分期待できることを示した。
第1戦(試合レポート)の先発として元メジャーリーグや元マイナーリーグ3Aの相手投手陣に全く引けを取らない堂々たるピッチングを見せた正田樹(愛媛マンダリンパイレーツ)と第3戦(試合レポート)でIL選抜初勝利の立役者となったネイラー(香川オリーブガイナーズ)を軸に、厳しい場面でセットアッパーとしての役割を果たしている竹田隼人(香川オリーブガイナーズ)や東風平光一(愛媛マンダリンパイレーツ)、クローザーを担う小林憲幸(愛媛マンダリンパイレーツ)らも、落ち着いたマウンド捌きで日に日に逞しさを増している。
続いて野手陣。チーム打率は.219。こちらは、現状がそのまま数字に現れていると言って間違いない。球速はそこまで速くはないが、小さな動きのある重いストレートに力負けをしていることは否めない。また、相手投手陣は、決して力任せに勝負を挑んできているわけではない。鷲谷綾平(徳島インディゴソックス)が地元紙のインタビューに応えていたように、IL選抜の選手たちを翻弄すべく、投げる間合いを変えたり、大きな変化球を織り交ぜたりしながら、タイミングを外してくる。
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