第16回 【坂口裕昭の北米探訪記】 「ビジネスについて語ろう」(第7回)2015年06月21日

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坂口裕昭の北米探訪記

インターナショナル・シリーズ実現の裏側

多くの人に埋め尽くされた観客席

 四国アイランドリーグplus All Stars(以下「IL選抜」)の北米遠征は、全17試合の公式戦のうち8試合を終えた。ちょうど、折り返し地点を過ぎたところである。日本を発ってから2週間。選手たちの疲れはピークに達している。そんな選手たちにとって、宿舎での睡眠や休息の時間は、とても貴重な時間となっている。

 今回の北米遠征では、監督、コーチ、トレーナー、スタッフも、選手たちと同じ宿舎に宿泊し、同じバスで移動している。事前交渉の結果、今回の北米遠征中の移動、宿泊に関する経費は、カナディアン・アメリカン・リーグ(以下「Can-Amリーグ」)が負担することで合意しており、対戦相手となる各球団が宿泊先を準備してくれている。球団によって多少対応は異なるが、少なくとも、疲れを取って休息するには十分の設備と環境が整っている。あらためて、私たちを温かく迎えてくれていることに感謝の念を深めている。

 なぜ、Can-Amリーグが、決して少額ではない、この経費負担に応じたのか。溢れ出る慈善の精神からか。あるいは、採算度外視でも自分のリーグの選手たちに経験を積ませたいと考えたからか。いや、そうではない。Can-Amリーグにとっても、経済的な観点から十分にメリットがあると判断したからである。アメリカに限らず、世界のマーケットというのはそういうものである。

 Can-Amリーグは、IL選抜とのカードを組むことにより、観客動員数を伸ばし、スタジアム収入やスポンサー収入で、必要経費を上回る収入を得ることができると見込んだのである。
実際、どこのスタジアムでも、IL選抜との連戦をインターナショナル・シリーズと銘打って、寿司の早食い競争や力士に扮した着ぐるみを使ったパフォーマンスなど様々なイベントを行い、集客に努めている。
その成果もあったのか、ここまでの8試合で土日の試合は2試合しかなかったにもかかわらず、1試合あたりの平均観客動員数は1,899人。さらに細かい分析をすれば、週末の3連戦となったジャッカルズ戦では平均2,750人。スタジアムそのものに集客力があるボールダーズ戦では、平日の試合であったにもかかわらず、平均2,589人となっている。

 スタジアムによっても異なるが、通常のチケット代金は1,000円から2,500円程度。かなりの数の観客が飲食をし、グッズを購入している。1部屋30,000円程度のVIPルームも過半数は売れている。試合毎のスポンサーである、いわゆるマッチスポンサーがついている試合もある。

 アメリカからカナダにかけての東海岸に本拠地を置く球団が多いCan-Amリーグにとって、特に魅力的なのは、これまではマーケティングの対象外にあったニューヨークやニュージャージーの郊外に住む多くの日系人、日系企業を新たな顧客層として取り込めることであろう。実際、初めてスタジアムへ訪れたという日系人は少なくない。

 天候にも恵まれなかったマイナーズは厳しさが滲み出ていたが、ここまでの対戦相手3球団のうちジャッカルズとボールダーズの収支は、ほぼ間違いなくプラスになっているであろう。特に、この後、土日の2試合を控えているボールダーズは、大きな利益を得ることになるであろう。


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