第16回 【坂口裕昭の北米探訪記】 「ビジネスについて語ろう」(第7回)2015年06月21日

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 いずれにせよ、IL選抜が戦力として相手にならないと思われれば来年の北米遠征はなくなるであろう。また、それ以上に、Can-Amリーグの各球団に十分な収益をもたらすことができなければ、やはり、来年はない。この意味においても、IL選抜が勝つことは重要であるし、負け試合の中でも懸命にプレーする姿を見せること、試合終了後に笑顔でお見送りをすること、用意されたイベントで誠意を尽くして対応することは重要になってくる。

 ボールダーズのゼネラル・マネージャーであるショーン・ライリーは、こう語っている。
「IL選抜の選手たちが一生懸命プレーする姿には、本当に感銘を受けている。ファンも楽しんでくれている。選手たちはもちろん、監督、コーチまでもが試合終了後にお見送りしてくれるというのは、素晴らしいことであるし、尊敬している。球団から報酬をもらって野球ができているのは、ファンやスポンサーがいるからなのだ、ということを理解していれば当然のことなのだが、アメリカには、それを理解してくれる監督、コーチ、選手は少ない。」

 これほど嬉しい言葉はない。私は、疲労が溜まっている監督、コーチ、選手たちが、こう思ってもらえるような姿勢で今回の北米遠征に臨んでくれていることを心底喜んでいるし、感謝もしている。そして、何よりも、彼らを誇りに思う。

「独立リーグ」というブランド

試合後、観客と交流する四国IL plus ALL STARS

 では、逆に、四国アイランドリーグplus(以下「四国IL」)が日本にCan-Amリーグの選抜チームを迎え入れることとなった場合、同じようなビジネスモデルが成り立ちうるであろうか。
残念ながら、私の答えは、Noである。少なくとも、現時点では。お遍路での“おもてなし”が浸透しているはずの四国である。しかし、アメリカの独立リーグのチームを招聘し、必要経費を上回る収益を生み出しつつ、無理のない形で継続できるシステムを作り上げることができる基盤は、今のところ存在しない。四国ILも試行錯誤を繰り返しながら11年目のシーズンを迎えているが、私たちは、コンテンツの中身というよりは、むしろ、ブランド意識で動く日本人の心をつかみ取ることはできていない。日本において、独立リーグという存在は、まだまだ見くびられているのである。

 2015年6月20日、高知球場で行われた試合に集まった観客は2,865人。しかし、そのほとんどが、四国ILに所属する高知ファイティングドッグスに入団した藤川 球児の日本での復帰登板を目当てにしてきた観客であることは間違いない。果たして、この中の何人が、四国ILというコンテンツに魅了され、藤川がベンチに入らない試合にも観戦に来てくれるのであろうか。私たちがチャレンジしなければならない壁は、ここにある。ブランドに頼るのではなく、四国IL自体がブランドになり得るような活動をし、それを伝えていかなければならないのである。

 ショーンが試合終了後、私に問いかけてきた。
「ボールダーズは、四国ILとCan-Amリーグとのリーグ間の交流とは別に、チーム単独でも日本に遠征し、四国に行きたいと思っている。できれば来年、今回の交流と同じ条件で。どうだい?」
私は、返答に窮した。
「それは、とても嬉しい提案だ。ただ、日程や諸々の事情もあるから、考えさせて欲しい。」

 ある意味、極めて日本人的な、冴えない答えを返すのが精一杯であった。そう答えざるを得なかった自分が悲しかった。そして、何よりも、悔しかった。

「ああ、そうかい。ちょうど我々も同じことを考えていたんだ。やろうじゃないか。」
このように、胸を張って即答できるようになること。また一つ、目標ができた。

(取材/文=坂口 裕昭)

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