角中勝也(千葉ロッテ)が独立リーグに残したもの (上)

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第4回 角中勝也(千葉ロッテ)が独立リーグに残したもの (上)2013年02月14日


〜高知ファイティングドックスの現場から〜

 昨シーズン、477打数149安打、打率3割1分2厘でパ・リーグのリーディングヒッターに輝いたのは角中勝也外野手(千葉ロッテ)である。2006年に四国アイランドリーグ・高知ファイティングドッグスで一年間プレーした彼。日本の独立リーグ出身者としてはじめて勝ち取ったNPB個人タイトルは、同時に独立リーグでプレーする選手たちに希望を与える大快挙ともなった。

 では2006年、高知ファイティングドックスで彼は何を学び、何を積み上げNPBでの活躍へとつなげたのだろうか?同年に彼とプレーし、現所属選手の中で唯一彼の高知時代を知る梶田宙外野手。そして次男・卓摩(現:東北楽天)が千葉ロッテで5年間チームメイトだった定岡智秋監督の証言を基に、WBC日本代表候補にも選ばれた角中勝也が「独立リーグに残したもの」を検証していこう。

培った自らを広げ、アピールする場を与えてくれた高知ファイティングドックス

▲高知FD・梶田宙外野手

「バッティング練習を見たらすごいのはすぐにわかりました。(トップから)インパクトまでの速度が速かったですから。肩も悪くなかったですよ」。

 2005年の四国アイランドリーグ創設時から現在までの8年間、様々な選手と間近で接してきた梶田宙による角中と出会った際の第一印象。それは0から飛躍する「角中サクセスストーリー」を事前に描いた筆者の浅はかな失投を、角中の打球のごとく木っ端微塵に打ち砕くものだった。

 ただ、四国アイランドリーグplusの歴史を見れば梶田の言も理解できる。過去から現在に至るまで高卒・大卒、ないしは社会人での指名解禁当時、NPB入りに相当する実力を有しながら、NPB側のチーム事情によって夢が叶わなかった選手たちは1名や2名ではない。3歳から日本航空二高(石川)卒業まで父から英才教育を受けた角中が、はじめて4LDKマンションを3人で借り上げ過ごすことになった(注:現在は高知県内に寮が完備されている)高知ファイティングドッグスでの日々。それは「僕は角中と部屋が違ったので、私生活での会話はあまりなかったんですが、『親から解放された』とはよく言っていたことは覚えています」と当時を振り返った梶田のコメントを借りるまでもなく、これまでにない新鮮なものだったのに違いない。

 その新鮮さを成果につなげてくれたのが、NPB経験を持つコーチ陣の技術指導である。梶田は同じ外野手としての視点も織り交ぜながら2006年・角中の成長過程を語る。

「角中は小さいときからやってきた練習量に加えて、ここで知識が入ってよくなったと思います。僕も高知では打ち方や守備の仕方を根本的に教えてもらったことでよくなりましたから。
例えば外野守備時における一歩目の出し方。愛知大まで僕は打者が打ってからボールを追っかけていたのですが、ここでは『打つ前に動くのがいい外野手』ということも教わりました。それは角中も一緒に教わったことですね」

▲高知FD・定岡智秋監督

 2006年当時の高知指導陣は、藤城和明監督(現:野球解説者)、小牧雄一コーチ(現:韓国・斗山ベアーズコーチ)、森山一人コーチ(現:四国アイランドリーグplus・徳島インディゴソックスコーチ)の3名。NPBの酸いも甘いも知り尽くしたコーチ陣からこのような感じで、培った実力を試合で出す方程式を学んだ角中は、運を見事に引き寄せる。

「当時、同じレベルの選手は他にもいました。けど、角中はNPBのスカウトが見ている試合では普通力みが入るものなのに、ホームランを打ったり、刺殺を記録したり、いいパフォーマンスをしていました。+αで魅せていたんです」(梶田)。

 2006年、高知ファイティングドッグスにおける角中の個人成績はリーグ89試合中85試合出場と高卒1年目でレギュラーには定着したものの、253打数64安打で打率は2割5分3厘・4本塁打・28打点。チームは前期優勝でリーグチャンピオンシップには出場したものの香川オリーブガイナーズには1勝3敗で敗退。しかも現在では四国アイランドリーグplusの選手たちにとって貴重なアピールの場となっている宮崎フェニックススリーグにはこの年までリーグ選抜は参加を許されず、リーグベストナインにも選抜されていない。正直に言えば凡庸な成績である。

 それでも2006年11月21日の大学・社会人ドラフトでは香川・深沢和帆投手(読売ジャイアンツ5巡目指名・現:会社員)に続き、7巡目で千葉ロッテマリーンズから指名を受けることになった角中。2次(育成)ドラフトで東京ヤクルトから1巡目指名を受けた香川・伊藤秀範投手(現:香川投手コーチ)とのトリオでNPB指名を受けた背景には、このような様々な化学変化が潜んでいたのである。

(文・寺下 友徳

角中勝也(千葉ロッテ)が独立リーグに残したもの(下)に続く

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コメント (1)
コラムありがとうございます。2013.02.14 くままにあ
下も楽しみです。ロッテの選手の情報は少ないもので。
代表では、報道や首脳陣の反応など、どうも継子扱いされる選手です(笑)
しかし、福岡のキューバ戦を目の当たりにしたファンとしては「+α」の部分、よくわかりますよ。

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