角中勝也(千葉ロッテ)が独立リーグに残したもの (上)

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第5回 角中勝也(千葉ロッテ)が独立リーグに残したもの (下)2013年02月26日

独立リーグで学んだことをNPBで活かした角中。そして「第二の角中」目指して

角中勝也(千葉ロッテ)が独立リーグに残したもの(上)


左から梶田宙選手、角中勝也選手

「栄光の時を目指して」

 これが千葉マリンで歌われる角中勝也・応援歌の末尾であるが、2007年・千葉ロッテ入団後の角中は埼玉県・浦和市での二軍生活で正にその時へ向かっての研鑽に励んだ。
 この年の千葉ロッテは、ボビー・バレンタイン監督の下、2005年の日本一から4位に終わった前年の屈辱を取り戻すべく、若手選手育成にも積極的だった時期。そこには福岡ソフトバンクから千葉ロッテに移籍し、後に角中と5年間同じ釜の飯を食うことになる一年先輩の定岡 卓摩内野手もいた。その父は定岡智秋。現在・高知ファイティングドックスを率いて6年目を迎える元・南海ホークスの名遊撃手として知られる。

第1回WBC日本代表コーチも務めた弘田澄男球団アドバイザー兼総合コーチ(背番号73)

よって、角中の独立リーグ時代を知らない指揮官は、次男から角中の様子もつぶさに聴いていた。鹿児島実高卒業後、16年間ホークス一筋。1994年の現役引退後は、守備走塁コーチ・二軍監督・スカウト・フロントと南海・ダイエーの福岡移転から日本一までを支えた定岡監督は、自らの豊富な野球理論を交え角中が栄冠を勝ち得た要因をこう分析する。

「彼はトップの位置からミートまでのスイングの速さがあるから、監督としても使いやすい。『角中はファームでは違う』と卓摩も言っていた。一軍ではしばらく結果は出ていなかったけど、当時から力はあったと思います。雰囲気を持っている選手は私だって使いますしね。
 やはりNPBに行ける条件は『自分が売れるもの』を持っていることなんです。投手であれば球が速いこと。野手であれば足や守備。私が高知の監督になってからNPBに送り出した選手も安田圭佑(外野手・2010年福岡ソフトバンク育成1巡目指名)ならば、リーグ46盗塁を記録した足。飯田一弥(捕手・2011年福岡ソフトバンク育成7巡目)体の大きさと肩の強さ。秀でているもの。目立つものを持つことです」

こうして入団1年目から9試合の出場機会を得て、プロ初安打もマークした角中。そこから先の活躍は読者の皆さんの方がご存知だろう。2年目には独立リーグ出身者初の本塁打を記録し、5年目の2011年には51試合出場と常に独立リーグ出身者のパイオニアであり続けた彼は昨年、ついに栄光の時を迎えた。

四国ILplus通算49勝とトップを誇る7年目・野原慎二郎投手(背番号26)

「今まで独立リーグ出身の選手は一軍になかなか昇格できず、一軍に上がってもレギュラーになれなかった。その中で彼が活躍することは独立リーグの株が上がることになるし、リーグの選手たちにやる気を与えることになる。昨年ウェスタンリーグの盗塁王(20盗塁)になった安田とかが活躍してくれれば、そのことがもっとリアルになるし、そんな選手がたくさん出てくれば、少しずつ独立リーグも認知されてくると思います」

最後は、高知ファイティングドッグスOBへのエールを送りつつ、第二・第三の角中出現への期待を述べた定岡監督。これこそが独立リーグ関係者が抱く共通の想い。すなわち角中勝也が「独立リーグに残したもの」ではないだろうか。

実は昨年12月、角中は高知の地を数日間訪れ、関係者へのお礼とつかの間の休息を取っている。「ここでやっていてもNPBに行けること。成績を残せることは植え付けてくれた」と盟友に感謝の気持ちを述べた梶田宙は、その時の様子をこう話してくれた。

「今回は一緒にゴルフにも行きました。「首位打者、獲っちゃいました」とか言って。マイペースぶりは昔と変わっていなかったです。それと『いい所に引っ越す』とは言っていました。今思い返せばそういうこと(結婚)だったんですね」。

伊東勤新監督の下3年ぶりの日本一奪還を目指す千葉ロッテでの闘い。そして山本浩二監督「SUMIRAI JAPAN」でのWBC3連覇という命題も持って、千葉から石垣島。そして宮崎を経て福岡、東京、そしてアメリカへと乗り込んでいかんとする角中。そのいかつく、頼もしい双肩には、これまでに夢を抱き闘い、夢破れ、そして今もなお夢を追う独立リーグにかかわった者たちの、期待が一身に詰まっている。

(文・寺下 友徳

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