第13回 福島ホープス(後編) チーム名に込められた、願い。それは、希望——。2015年07月14日

【目次】
[1]前期最下位も感じる「成長」
[2]一歩ずつ、前を向き、希望へ向かう
独立リーグ~東北地方の人間にとっては、率直に言って馴染みがないフレーズだ。NPBの楽天の正式名称は「東北楽天ゴールデンイーグルス」。東北のプロ野球団と考え、本拠地のある宮城県のみならず、東北各地で公式戦やイベント、野球教室を行い、ファンを拡大している。東北において「野球」というスポーツはプロ野球(NPB)の楽天か、学生や社会人のアマチュア野球が主流である。
そのような中、今年、ルートインBCリーグの新球団として福島県に誕生した「福島ホープス」。後編では2015年シーズンを戦う彼らの今と未来への「希望」について触れていく。
前期最下位も感じる「成長」

楽天2軍との試合に先発した山岸大輝投手(福島ホープス)
「ヘッドを下げるな。相手ピッチャーはお前みたいなタイプのバッターにヒットを打たれた方が嫌なんだよ」
声の主は、打撃投手をしていた岩村 明憲選手兼任監督。全体練習前に数名の打者に向かって自らボールを投げ、時には身振り手振りでアドバイスを送っていた。
「自分も練習をしないといけませんから、見れる時に見てやらないと。選手って、自分を見てもらえると嬉しいじゃないですか。モチベーションも高まるでしょうし。細かい部分まで気を遣ってあげたいですね。目配り、気配り、心配りをしてあげたいですね」
と岩村選手兼任監督。
そんな取材日の5月20日は、福島県福島市のあづま球場で東北楽天ゴールデンイーグルス二軍との公式交流戦。福島ホープスにとっては貴重なNPBとのゲームであった。
試合は2対5。先発の山岸 大輝は2回までに2失点。3回裏に1番・岡下 大将がプロ16年目のベテラン・川井 貴志からレフトへ豪快なソロアーチを放ち、5回にも1点を返したものの、8回は長谷部 康平、9回は徳島インディゴソックスからルーキー開幕一軍入りを果たした入野 貴大(2013年インタビュー、2015年インタビュー【1】 【2】 【3】)にきっちり抑えられた。
が、3月26日の練習試合(3対11で敗戦)以来となる古巣との試合を終え、
「東北楽天ゴールデンイーグルスの酒井 勉二軍監督、二軍コーチ陣から『オープン戦の時と振りが違うね』と言ってもらった」
と岩村選手兼任監督は確かな手ごたえを感じている。
「NPBのレベルの高さを肌で感じるのが一番。勝つつもりでやっていますが、負けの方が収穫は多いと言ってきましたし、何かを得てほしい。今日の試合は相手にランダウンプレーでミスが出ましたが、NPBでもああいうプレーをするんだと反面教師にしてほしいですね。(先発の)山岸は2アウトから抑えにいった球が甘い。選手たちには自分達の立ち位置を見つめ直して、やるべきことをやってほしい」
選手側もNPBレベルを学習できる機会を活かそうとしている。
四国アイランドリーグplus・愛媛マンダリンパイレーツなどでマスクを被った経験を持つ笹平 拓己主将は、相手が凡退した次の打席で入り方を変え、配球の読み方で違いがあったことを認めつつ「負けはしましたが、いい勉強になった」と話す。
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