第13回 福島ホープス(後編) チーム名に込められた、願い。それは、希望——。2015年07月14日
【目次】
[1]前期最下位も感じる「成長」
[2]一歩ずつ、前を向き、希望へ向かう
そして仙台育英高(宮城)卒業後、昨年まで4年間育成選手として兄の由規と共に東京ヤクルトスワローズでプレーしていた(佐藤)貴規も。
「久しぶりにNPBのチームとやって、改めてボールの質の違いを感じました。BCリーグでやりながらも、NPBと試合をした時に対応できるようにしたいと感じましたね。野球をやっている以上、もう1回、NPBでやりたいですから」
FUTURE-East前期を終え、福島ホープスの成績は、37試合を戦い、8勝25敗4引き分け。4チーム中・最下位。が、貴規は153打数56安打・打率.366でリーグ首位打者を走るなど、成長の花はところどころで芽吹いている。
一歩ずつ、前を向き、希望へ向かう

初代キャプテンの笹平拓己選手(福島ホープス)
「勝つ時もあれば、負ける時もあります。勝敗の責任は僕が取ります。選手には、納得したかどうかを求めたいですね」
と話す岩村選手兼任監督。「せっかくやるなら、どうせやるなら、とことんやろう」と選手たちに常々言う若き指揮官は、自らの経験を糧にこうも話してくれた。
「NPB入りを夢見ている選手もいれば、野球人生のけじめをつける選手もいると思います。プロとしての自覚を教えていきたいし、ここで学んで辞めていくのもありだと思います。1人の人間として羽ばたかせたい。NPBに行けても、行けなくても、ここを巣立って行く時にどうなっているのか、ですよ」
実はかつてNPBでも見られた「新球団」ならではの悩みはあった。
「まとまっていないところがありました。独立リーグが初めての選手もいるので」(笹平 拓己主将)。
福島県新地町出身の荒 竜司も「最初は、これまで経験したことのない「独立リーグ」というくくりの中で環境に苦戦し、不安がありました」と打ち明ける。
しかし、そこは同じ野球で夢を追う仲。独立リーグでプレーしてきた笹平主将ら経験者を中心に徐々にチームらしくなってきた。その原動力はやはり「元気を発信する使命感」である。
笹平主将が「福島を元気にしたい。1試合、1試合、全力で戦って、勇気と元気を与えたい」と言えば、岩村選手兼任監督も「県民の方に笑顔になってもらうことが一番」と強調。その誓いを裏付けるように7月3日から開幕したFUTURE-East後期は2勝1敗(7月7日現在)と順調な滑り出しを見せている。
そして経営側も。扇谷 富幸社長は「県民球団ですから、県民がオーナーです。私はその先頭に立って、営業活動をしている人です」と断言する。
こうしてJリーグのようにホームタウンは設けず、日本で3番目に広い面積の福島県内全域を“ホーム”と位置づけ、福島県内各地で試合を開催する福島ホープス。
今後もスポンサーも福島県内全域から募り、地域とタイアップしながら成長していく中で、野球というスポーツの力を信じ、福島の復興の一翼を担う存在となっていくだろう。そう、球団名に込められた「希望」を持って―—。
(取材・写真:高橋 昌江)
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