第38回 寺田 哲也投手(香川オリーブガイナーズ) Vol.52014年12月15日

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【目次】
[1]自分のために闘い「独立リーグ出身」の評価を上げたい
[2]自分の「真っすぐ」でこれからも

寺田選手インタビューバックナンバー
第1回 野球を始めたルーツと高校時代について
第2回 苦難多きの大学時代と、自信を掴んだアルビレックス新潟時代
第3回 波乱万丈の野球人生で、こだわり続けた「ストレート」
第4回 ラストチャンスをかけた香川オリーブガイナーズ時代

自分の「真っすぐ」でこれからも

香川OG・寺田哲也投手

――長きに渡ったインタビューですが、1つ。「NPB選手になるために必要なこと」寺田選手はなんだと思いますか?

寺田 これは新潟時代に橋上 秀樹さんから言われて今でも大事にしているんですが、「NPBに入るまでは賞味期限がある。その期限までに自分をアピールするものは何なのか探し、そこを鍛えることが大切」ということです。ホームランバッターじゃないのに、ホームランを打つ練習をしても難しいし、脚が速ければそこを活かした方がいい。

 それらの練習はNPBに入ってからすればいいわけであって、アピールのしどころを間違えると、その時間は第三者から見れば無駄に近いものになってしまう。僕は27歳までかかりましたけど、少しでも若い方がいい。そこを自分でいち早く気付いて、認識して取り組んでほしいと思います。

――重い言葉です。寺田選手であればやはりストレート、真っ直ぐですね?

寺田 僕は小さいころから少し真っ直ぐのスピードよりも質に自信があって、そこを野球をする間はずっとこだわってきたんです。結果、賞味期限ギリギリかもしれないですけど、その真っ直ぐを評価して頂けた。時間はかかりましたけど、やり続けてよかったと思います。

 あとはコツを見つける練習法を探せば、驚くほど成長できます。先ほど言ったことを頭の引き出しに入れておくだけでもいいんで。

――的確なアドバイス、ありがとうございます。最後に意気込みをお願いします。

寺田 恐らく中継ぎになると思うので「アウトを3つ取る」ために何をできるか。それを考えて頑張ります!

 これまで抱いていた「クールなイケメン」の印象は木端微塵に吹き飛んだ。5年間の独立リーグ生活を通じ身体いっぱいに充填された「闘志」という二文字。来季はその闘志を右腕に込めてのNPB舞台、神宮の杜での躍動を期す。そしてできることなら……。2015年4月14・15日の広島東洋カープ戦、寺田 哲也がNPB入りの扉を開いた坊っちゃんスタジアムのマウンドは、その帰還を今や遅しと待っている。

(インタビュー・寺下 友徳

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プロフィール

ザック・コルビー
寺田 哲也(てらだ・てつや 投手)
  • 生年月日:1987年4月2日(27歳)
  • 栃木県河内町(現:宇都宮市河内町)生まれ
  • 183センチ90キロ
  • 右投右打
  • 田原小学校3年時に近所の友人に誘われ、田原サンライズ(現:NTサンライズ)でプレーを始める。田原中では投手から外野手が主ポジションになり、3年時には「第19回全日本少年軟式野球大会」に出場。横浜スタジアムの土を踏み、岡山クラブ(岡山県)を破って1勝をマークした。なお、なでしこジャパン2011年ドイツ女子W杯優勝メンバーの鮫島彩(ベガルタ仙台レディース)は中学時代の同級生。

    高校は地元の作新学院へ。2年秋に背番号「11」でセンバツを経験も出場はなし。3年春にはエース格として関東大会優勝を果たすも、最後の夏は準々決勝で涙を呑む。当時のストレートの最速は137キロ。

    作新学院大では高校時代からのチームメイト・笹沼 明宏(全足利クラブ~福岡ソフトバンク育成<2012~2014>とバッテリーを組み、4年間での関甲新学生野球1部リーグ通算成績は6勝5敗。
    大学卒業後の2010年にベースボール・チャレンジリーグ・新潟アルビレックス・ベースボール・クラブに入団。1年目から6勝と頭角を現し、3年目の2012年にはレギュラーシーズン24試合登板で166回を投げ、145奪三振14勝4敗・防御率2.60。最多勝・最多奪三振に加え、ベストナイン・後期・年間最優秀選手(いずれも投手部門)と最優秀防御率を除き個人タイトル総なめ。新潟の上信地区前後期優勝・プレーオプ優勝、リーグチャンピオンシップ優勝。そして香川オリーブガイナーズを3連勝で下しての初の独立リーグ日本一へ大車輪の活躍を見せた。

    翌年もレギュラーシーズン19試合登板で133回を投げ、107奪三振15勝2敗・防御率1.35。前年に続き、最多勝・年間最優秀選手・後期最優秀選手・ベストナイン(いずれも投手部門)を受賞。加えて最優秀防御率・前期最優秀選手(投手部門)も獲得したが、チームは上信地区前後期優勝・プレーオプ優勝も、チャンピオンシップで石川ミリオンスターズの前に敗退。自らのNPB入りも果たせず、四国アイランドリーグplus・香川オリーブガイナーズへの移籍を決意する。BCリーグ4年間のレギュラーシーズン通算成績は97試合登板・41勝21敗・561回3分の1を投げ、被安打487 奪三振433 与四死球169 自責点161 防御率2.58。

    香川では開幕投手を務めるなど当初はローテーションの柱として活躍したが、前期終盤からは中継ぎ・抑えなども兼務。フォークをマスターしたことで投球の幅も広がり、球速も149キロまで伸ばした。香川では自己最多の43試合登板・6勝4敗6セーブ・148回3分の1を投げ、被安打125 奪三振145 与四死球47 自責点48 防御率2.91の成績を残し、最多奪三振のタイトルを獲得。東京ヤクルトからドラフト4巡目指名を受け、年間グラゼニ賞も受賞した。

    リリースポイントを最後まで見せない独自のフォームから最速149キロのストレート、スライダー、フォークなどを操るナイスガイ。今年11月4日には大学時代から7年間交際していた1歳下の祥子さんと入籍。公私ともに気持ちを込めてNPBの舞台へ羽ばたく。

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