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第41回 徳島インディゴソックス・山本 雅士投手 インタビュー 「練習生から胴上げ投手、NPB入りへ」 Vol.3 2014年12月27日

【目次】
[1]「練習生」が独立リーグ頂点胴上げ投手、NPB指名
[2]「環境に合うように自分を変える」
山本選手インタビューバックナンバー
第1回 僕が築き上げた「1人ボトムアップ」
第2回 練習生時代に学んだ「プロフェッショナル」
最終回では、今年の活躍を振り返っていきます。そして念願のNPB入りを叶え、1年目にかける想いも伝えていきます。
「練習生」が独立リーグ頂点胴上げ投手、NPB指名
――好投を続けるうち、シーズン中盤からはNPBスカウトからマークされる存在にもなってきました。「ひょっとしたら、行ける」と思ったのは?

ボールと中日・谷繁 元信監督のサインが入ったドラフト会議IDを手に笑顔の山本 雅士投手
山本 雅士(以下「山本」) 前期から「見に来ている」という話は聞いていましたけど、意識はなかったです。ただ、後期に入って8月26日に香川との試合で先発をさせて頂くことになって。ここから後はスカウトの数も増えたので、正直意識しました。マウンドに立ったらいつも忘れていましたけど(笑)
――その中で後期終盤からは抑えに。
山本 前期開幕時は入野 貴大さん(2013年インタビュー)、アヤラ(2014年インタビュー)が先発の柱で、河本 ロバートさん(2014年インタビュー)・富永 一さんが後ろにいたので、僕が抑えをするなんて想像もしていませんでした。
ただ、後期から徐々に後ろに回っていき、チームの勝ちが目の前にある場面や、ランナーを置いた状況で登板することによって、ピンチでも慌てなくなりました。動揺もしなくなりました。
むしろ、ピンチの方が楽しかった。ブルペンで「そろそろかな」と思って準備することによって、登板する時には心の準備もできましたし、緊張もせずに投げられました。
――「気持ちの作り方」は誰かに教えてもらったのですか?
山本 肩を作るタイミングは教えてもらいましたけど、気持ちの部分は勝手に自分でなった感じです。
――チャンピオンシップ・群馬ダイヤモンドペガサスとのグランドチャンピオンシップでは胴上げ投手にも輝きました。
山本 開幕前には「ようやく選手になれた。これから頑張っていこう」と思っていた自分が、ちょっとずつ頑張ったことで、ここを任せてもらったやりがいや喜びを感じましたね。
――10月23日、運命のNPBドラフト会議の心境は?
山本 正直、入野さんや、野手でも吉村 旬平さん(外野手・今季限りで引退)(2014年インタビュー)がいたので、「自分は育成指名ならいい方かな」と。なのでびっくりしました。中日ドラゴンズ8巡目で名前を呼ばれた時は「おお」と思いましたが、翌日以降もあまり実感がなくて。11月11日の仮契約(インタビューはその直後に行われた)で、実感がわいてきました。
――安芸南高校野球部で当時監督をされていた沖本 滋紀さんにも、電話で指名を報告されたそうですね。
山本 沖本先生は3年生の時の担任教諭もしていて、みんなが全員進学希望を出している中で、僕が「独立リーグ志望」と出したら「何言うとるんや。辞めとけ」と最初言われました(笑)。今は祇園北高校にいらっしゃって僕の徳島での活躍は知ってくれていたんですが、最初のドラフト指名報告の返事は「え、そうか?」(笑)。その後は喜んでくれましたけどね。

- 山本雅士(やまもと・まさし 投手)
- 生年月日:1994年11月3日(20歳)
- 広島県広島市安芸区出身
- 173センチ78キロ
- 右投左打
最速146キロの伸びがあるストレートとカットボールが最大の武器。他にフォークやスライダー、今季からマスターしたスローカーブを操る右腕。広島市立瀬野小3年生でソフトボールを始め「瀬野小ソフトボールクラブ(現:瀬野ソフトボールクラブ)」で3年間プレー。広島市立瀬野川東中に進むと軟式野球部に転じ、広島県立安芸南高校で硬式野球へ。1年夏には早くも背番号「10」で登板した。
しかし直後に腰と肩を痛め、3年までマウンドには戻れず最後の夏は背番号「3」で一塁手兼投手。3回戦で敗退するも満足感は得られず、四国アイランドリーグplusのトライアウト受験を決断。四国開催トライアウトでは1次試験を突破。2次試験合格・ドラフト指名は叶わなかったが、徳島インディゴソックス(以下、徳島)から練習生契約打診を受け受諾。2013年は徳島の練習生として一年間を過ごし、「Winter league」などで登板した。
今季は開幕直前に練習生を脱し背番号「37」で選手契約を勝ち取ると、前期は先発、後期は中継ぎ・抑えで大車輪の活躍。愛媛マンダリンパイレーツとのリーグチャンピオンシップ、ルートインBCリーグ・群馬ダイヤモンドペガサスとの日本独立リーグ・グランドチャンピオンシップではいずれも胴上げ投手に輝き、四国4県知事連携チームMVPを受賞した。成績は31試合登板で4勝5敗6セーブ・102回3分の2を投げ被安打92 奪三振89 与四死球39で防御率2.54(リーグ5位)。
10月23日には中日ドラゴンズ8位指名を受け、11月11日に契約金1,500万円・年俸600万円(いずれも推定)で仮契約。背番号「51」・登録名「山本雅士」でナゴヤドームでの躍動を期す。